ジョンソン首相は29日、12月12日の総選挙実施に向けた法案を下院に提出した。最大野党・労働党もついに早期総選挙の支持を表明したため、年内の総選挙実施で与野党の足並みがようやくそろった。BBC電子版が伝えた。
ジョンソン首相はこれまでに3度、下院の任期に関する法律に基づき早期総選挙を求める動議を下院に提出したが、いずれも可決に必要な全議員の3分の2の支持が得られなかった。このため、同首相は今回、単純多数決で可否の決まる法案の形で、12月12日の総選挙実施を提案した。
労働党はこれまで、合意なき離脱が排除されないままでの早期総選挙に反対してきたが、欧州連合(EU)が離脱延期に応じたことを受け、コービン党首はこの日朝に早期総選挙を支持する方針を打ち出していた。自由民主党とスコットランド民族党(SNP)もかねて12月9日の総選挙実施を狙っているため、表面上はクリスマス前の選挙実施で与野党の意見が一致した格好となった。
ジョンソン首相の早期総選挙法案に対しては、16~17歳の国民や340万人の英在住EU市民に選挙権を与える修正案をはじめ、2度目の国民投票の実施も義務付ける修正案や、投票日を12月9日とする修正案などが野党各党の議員から提出された。バーカウ議長はこの中から、投票日を12月9日とする修正案を採択。この案はコービン党首が代表者となり、自由民主党のジョー・スウィンソン党首も名を連ねている。
労働党の議員は、この日程が「最も多くの人が投票に参加できる」と主張。また、政府案の12月12日だと一部の学生が学校の所在地を離れている可能性があり、投票に参加できない学生も出かねないことも問題だとした。一方、政府はこれに対して、スコットランドの祝日に対応するため、選挙人登録の締め切りを変更する修正案を提出した。
修正案として提出された投票年齢の引き下げやEU市民への選挙権付与は大幅な制度変更となり、12月の選挙実施は困難となることから、政府は仮にこれらが可決された場合、早期総選挙法案を取り下げるとしていた。これらの修正案については、本筋から外れた「単なる政治ゲームだ」との批判が出ていた。
早期総選挙法案は第2読会を無投票で通過。議員は討議を続け、29日夜に最終的な採決が行われる見通し。ジョンソン首相は投票に先立ち、党籍を剥奪した造反議員21人のうち10人を復党させた。
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