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英仏首脳、5年ぶり会談 不法移民対策に4.8億ポンド拠出

英国のスナク首相とフランスのマクロン大統領は10日、パリで会談した。両国の首脳会談は5年ぶりとなり、両首脳とも英国の欧州連合(EU)離脱交渉などを巡り悪化していた関係の改善をアピールした。英仏海峡経由で英国に流入する不法移民の問題については、密航の取り締まり強化に向け、英国がフランスに向こう3年に4億7,900万ポンドを提供することなどが決まった。

会談後の記者会見では両首脳とも、英国とフランスの歴史的・地理的な結び付きに言及し、「新たな関係」の始まりを強調した。マクロン大統領は、今回の会談が「両国の野心を新たにし、具体的な成果を上げる機会となる」としている。スナク首相は、「マクロン氏と同時期に首相を務められることを幸運に思う」とし、将来の英仏関係に期待感を示した。

会談では、英仏海峡を小型ボートで渡り英国に到着する不法移民の増加問題が最大の議題となった。両国はこの対策として、フランス側に収容施設を新設することや、密航の取り締まり強化に向けフランスの警察官を数百人増員すること、ドローン(小型無人機)や航空機、監視システムによる沿岸の巡視を強化することを決めた。

これに向け、英国は今年度に1億4,100万ユーロ、2024年度に1億9,100万ユーロ、25年度に2億900万ユーロを拠出する。

フランス側の海岸では22年に3万人超の密航が阻止されたものの、英国では同年に英仏海峡経由の不法入国者が過去最多の4万5,000人超に達している。英政府は先に、不法移民の亡命申請を認めないなどとする不法移民法案を打ち出したものの、密航者を減らすためにはフランスの協力が不可欠となっている。

首脳会談ではこのほか、安全保障問題についても協議が行われた。両首脳は、北大西洋条約機構(NATO)を強化するとともに、ロシアの脅威に対抗するため、次世代の高精度長距離ミサイルを共同開発することや、インド太平洋での空母配備で協調することなどで合意した。ロシアの侵攻を受けるウクライナに対しては、長期的に軍事支援を続ける方針があらためて示された。

英国のジョンソン元首相とマクロン大統領の間では、不法移民問題の責任分担に加え、ブレグジット後の漁業権問題のこじれや、英国と米国、オーストラリアがインド太平洋地域の新防衛枠組み「AUKUS」を構築し、フランスとオーストラリアの潜水艦共同開発計画が破棄されたことなどを巡り、関係が悪化していた。


関連国・地域: 英国フランスEU
関連業種: マクロ・統計・その他経済政治社会・事件

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