英国と欧州連合(EU)は24日、英国のEU離脱協定に含まれる「北アイルランド国境問題に関わる議定書」の問題点の解決に向けた「ウィンザー枠組み」を正式に採択した。同議定書の問題点を巡る英・EU間の協議は約2年に及び、時に膠着(こうちゃく)して関係悪化の要因となっていたが、ようやく終止符が打たれた格好となる。
英国のクレバリー外相と欧州委員会のシェフチョビッチ副委員長はこの日、ロンドンで会談し、ウィンザー枠組みを採択した。
両氏は共同声明で、同枠組みは「過去2年にわたるアイルランドと北アイルランドでの同議定書の運用上の課題や、北アイルランドの住民・企業が直面する日常的な問題を最終的に解決するもの」で、ベルファスト合意を維持するとともに、EU単一市場の完全性と北アの英国国内市場における地位を両立する内容と説明した。
北ア議定書では、アイルランドと北アの間に厳格な国境を設けることを避けるため、英国のEU離脱後も北アがEUの単一市場にとどまり、製品基準や一部の税制に準拠することになっている。この結果、英本土と北ア間の物品のやりとりに通関検査が発生し、北アの企業や住民に影響が生じていた。
英国のジョンソン元首相とトラス前首相は同議定書の抜本的見直しを要求したが、EUがこれに応じなかったため英国では同議定書を一方的に破棄する法案が成立。EUはこれに抗議して法的措置に着手する事態となっていた。
その後に就任したスナク首相は2月、フォンデアライエン欧州委員長とウィンザー枠組みで合意。北ア向けの製品には「グリーンチャネル」を設け、厳格な通関検査を免除する内容で、EUが今後、製品基準などを変更する際には、北ア行政府が適用を拒否できる条項も盛り込んだ。
ただ、議定書に抗議して北アの政権を離れている親英強硬派・民主統一党(DUP)は、ウィンザー枠組みを受け入れておらず、同党の政権復帰のめどは立っていない。[EU規制]
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