ジョンソン首相は審議を再開した25日の英議会で、自身への批判を強める野党各党に早期総選挙に向けた内閣不信任案を提出するよう要求した。さらに、これに向けた過去2回の動議を拒否したことを「臆病者」と非難。また、同首相の議会閉会措置に違法判決を下した最高裁判所は「間違っている」と発言した。一方で、最大野党・労働党のコービン党首は、判決が出た時点で首相は辞任すべきだったと糾弾するなど、舌戦を繰り広げた。BBC電子版などが伝えた。
初日の議会では、発言内容に含まれる扇動的な語彙(ごい)や言葉に対して注目が集まった。労働党のポーラ・シェリフ議員はジョンソン首相に対し、欧州連合(EU)離脱を巡る発言で「降伏」などの言葉を使って感情をあおっていることを批判。同首相は合意なきEU離脱の阻止に向けて先に成立した法律を「降伏法」と呼んでいた。同首相はこれを受け「こんな“でたらめ”は生涯で一度も聞いたことがない」と一蹴。また、英国のEU離脱を巡る2016年の国民投票を前に、残留を訴えていた労働党のジョー・コックス議員が極右思想を持つ男に殺害された事件についても「コックス議員に哀悼を示し、国民を統一する最適の手段は、ブレグジットを完遂することだ」と悪びれる様子もなく言い切っており、野党は謝罪を要求している。
ジョンソン首相は26日の議会で、与党・保守党の党大会が開かれる3日間に、議会を閉会する動議を発動。これも否決されたことで、保守党は党大会の日程を縮小するか、大会自体を中止する必要に迫られている。
野党各党は解散総選挙を求める一方、ジョンソン首相が合意なきEU離脱回避をEU側に要請したことが明確になるまでは、選挙実施に向けた動きを取らない方針だ。一方で、同首相は合意の有無にかかわらず10月31日にEUを離脱する姿勢を維持している。なお先に成立した法律により、同首相は10月19日までにEUから合意を取り付け、議会の承認を得られなければ、離脱期限を来年1月31日まで延期するようEUに要請することを義務付けられた。ただ、これには従わない意向を示している。
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