英議会は25日、審議を再開した。最高裁判所がジョンソン首相による議会閉会措置に違法判決を下したためで、同首相はこれを受けて米ニューヨークで開かれている国連総会から急遽帰国。野党各党は同首相への辞任圧力を強め、与党・保守党の首相支持派は判断の正当性をあらためて主張した。BBC電子版などが伝えた。
下院ではこの日、緊急質問や審議が繰り広げられた。ジョンソン政権に法的助言をしたコックス法務長官は議会閉会について「良心に基づいて行ったもの」と主張。判決結果には失意を示しながらも「尊重する」と話した。スコットランド民族党(SNP)の議員はコックス氏に対し、政府への助言文書を公開するよう要求。これについては「向こう数日間、公開することが国民の関心となるか熟考する」と発言するにとどめている。
強行離脱派であるリースモグ下院院内総務は24日の閣僚会談で、今回の判決は「憲法によるクーデターだ」と発言していたという。これが明るみに出たことで、下院議員による批判が相次いだ。リースモグ下院院内総務とジョンソン首相は後に、下院で声明を発表する予定だ。
最大野党・労働党のコービン党首は、ジョンソン首相に辞任圧力をかける方針をあらためて示した一方、解散総選挙につながる内閣不信任案については、首相が合意なき欧州連合(EU)離脱回避をEU側に要請したことが明確になるまでは提出しないとしている。
ジョンソン首相は、9月10日に議会を閉会。その目的については、女王の施政方針演説を通じて政府の新政策を打ち出すためと説明していた。しかし、最高裁のヘイル裁判長は24日、判決文で「これは通常の女王の施政方針演説に向けた閉会ではなく、夏季休暇終了から10月31日のEU離脱予定日までの8週間のうち5週間にわたり、議会が憲法上の役割を果たすことを正当な理由なく妨げるものだった」と指摘し、これを違法とする判断を下した。この結果、議会閉会は無効となり、上下院の議長に直ちに審議の再開に向けた措置をとるよう促していた。今回の判決は、首相による議会閉会の権限に制限を加えるとともに、政府がこれを逸脱した場合には司法権限で介入できることを示している。
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