英国は15日、「環太平洋パートナーシップに関する包括的および先進的な協定(CPTPP)」に正式に加盟した。同協定への加盟は欧州で初めてで、英国が欧州連合(EU)離脱後に結んだ貿易協定では最大規模となる。ただ、英国はすでに日本やオーストラリアを含むほとんどのCPTPP加盟国と2国間の自由貿易協定を結んでおり、実質的なメリットは限定的。政府の試算では、国内総生産(GDP)の長期的な押し上げ効果は約0.08%にとどまる見通しだ。
CPTPPには日本とオーストラリアのほか、カナダ、ニュージーランド、シンガポール、マレーシア、ベトナム、ブルネイ、メキシコ、ペルー、チリが参加し、英国の加盟により12カ国体制となる。
CPTPPが新規加盟国を受け入れるのは2018年の同協定発効以降で初めて。英国は加盟12カ国中で日本に次ぐ経済規模をもち、英国の参加によりCPTPP加盟国のGDPの合計は12兆ポンドに拡大する。
英国政府は、CPTPP加盟により自国のGDPが長期的にみて年20億ポンド拡大するとみているが、EU離脱による経済損失を埋め合わせるには程遠い。BBC電子版によると、英国がまだ自由貿易協定をまだ結んでいない加盟国はブルネイとマレーシアのみで、これら2カ国が英国の貿易高に占める比率は0.5%に過ぎない。
ただ、CPTPPには中国と台湾、エクアドル、コスタリカ、ウルグアイ、ウクライナも加盟を申請しており、英国は今後、加盟国として新規加盟の承認に影響力を発揮できる。このため、同国にとってのCPTPP加盟のメリットとしては、中国の経済的支配力拡大のけん制に向けた戦略的重要性が実質的な経済効果を上回るとの見方もある。
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