英国のバークレイ欧州連合(EU)離脱担当相は20日、ブリュッセルでEUのバルニエ首席交渉官と会談した。アイルランド国境問題の解決策である「バックストップ(安全策)」の代替案が焦点だったが、大きな進展は見られなかった。バークレイ氏は、「バックストップ」の代替策は離脱協定には盛り込まず、離脱後の移行期間中にその詳細を詰めることを打診したものの、バルニエ氏はこれを拒否した。
欧州委員会は会談後の声明で「離脱協定には完全に運用可能で法的に実行可能な解決策を含めることが必須」との考えをあらためて示した。英政府はこの前日、代替案に関する機密文書をEUに送付していたが、その内容については、「概念と原理とアイデア」にとどまるとしている。
バークレイ氏は会談後の記者会見で、「真剣で詳細に踏み込んだ議論が行われた」とした上で、「するべきことはまだ数多くあるが、合意成立という目的は共通している」と話した。
アイルランドのコブニー副首相兼外相はこの日、英国とEUの間には「大きな溝」があり、「EUはなお英国からの真剣な提案を待っている」と話していた。
ユンケル欧州委員長はこの前日、スカイニュースとのインタビューで、離脱期限である10月31日までの合意成立はなお可能との見方を示していた。また、ジョンソン英首相も「一定の進歩」が見られたと話していた。それだけに、この日の協議では合意に向けた進展があると期待する声もあった。
英国とEUは今後も専門的な協議を続けるとしている。ジョンソン首相は23日にニューヨークで開かれる国連気候変動会議で、EUのトゥスク大統領や加盟各国の首脳と会談する見通し。
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