キール世界経済研究所(IfW)は11日、ドイツ経済が第3四半期(7~9月)に0.3%縮小し、リセッション(景気後退)入りするとの見通しを明らかにした。貿易摩擦や英国の欧州連合(EU)離脱を巡る政治的不透明感が、見通しに影響を及ぼしたとしている。
ドイツの国内総生産(GDP)は、第1四半期に前期比0.4%拡大したものの、第2四半期は0.1%の縮小に転じていた。IfWは、第3四半期も0.3%減と2期連続でのマイナスとなることから、「ドイツは形式的なリセッションの定義に当てはまる」と説明。ただ、マクロ経済的な生産能力の余剰には陥っておらず、景気循環的な意味でのリセッションには当たらないと指摘した。
2019年のGDP成長率は0.4%となり、ユーロ圏財務危機直後の2013年以降で最低の水準にとどまる予想。従来予測から0.2ポイント下方修正した。2020年には伸びが1%に加速するとみるが、こちらも従来予想の1.6%から大幅に引き下げている。一方で、来年半ばからは持ち直し、2021年については1.4%に勢いを取り戻すと見込む。
IfWは、「トランプ米大統領の貿易紛争の真の問題点は関税そのものではなく、何が起こるか分からないという先行き不透明感で、これが投資決定を妨げている」と指摘。ただ、新興経済諸国の需要はなお健在で、ドイツの機械・自動車産業に大きな輸出機会をもたらすと予想したほか、ドイツ経済の輸出志向は今後も続くとみている。
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