ハント財務相は27日、長期的な経済成長に向けデジタル技術やグリーン産業などの成長分野で起業や投資を促す方針を示した。欧州連合(EU)離脱のメリットを生かした規制緩和により、これを後押しするほか、人員不足の解消に向け、就労率の向上に取り組むとしている。税制面では、当面は減税よりインフレ抑制を優先する方針。
同相はこの日、ロンドンでの演説で長期経済成長に向けたビジョンを公表。その中で、「技術革新やテクノロジー志向のビジネスで起業や投資を考えているなら、英国でそれを実現してほしい」と投資家に呼びかけた。英国経済については「楽観性がやや欠けている」とし、「英国を巡る衰退論は過去も現在も間違っている」との考えを示した。
同相は、デジタル技術、グリーン産業、生命科学、先進製造、クリエーティブ産業の5分野で起業や投資を優先する方針。また就労率の向上に向けては年金制度の見直しも検討するとともに、教育と人材開発に注力するとしている。
税制面では、「競争力のある法人税制」を重視するとしている。ただ、「現時点で最良の減税策はインフレ率を引き下げること」とし、当面は減税よりインフレ抑制を優先する姿勢を示した。スナク首相は先に、今年の課題として、経済成長の実現とともに、インフレ率を前年の半分に抑えることや公的債務を削減することなどを挙げていた。
ロイター通信によると、英国経済は昨年第3四半期(7~9月)の時点で、主要7カ国(G7)で唯一、コロナ禍前の水準に回復していない。ハント氏は、「われわれの長期的な経済計画は、ブレグジットの結果、必要になったものであると同時に、ブレグジットによって活性化され、実現可能となる」とし、「ブレグジットは大胆な選択のきっかけとなって初めて成功する」と強調している。
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