英スコットランドのグラスゴーで開かれた国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)は13日夜、成果文書「グラスゴー気候協定」を採択し閉幕した。世界の平均気温の上昇を産業革命前から1.5度に抑える努力を追求することが盛り込まれ、石炭火力発電は「段階的な削減」へと表現が弱められる形で合意に至った。
当初の会期は12日までだったが、各国が交渉を続ける中、1日延長されて閉幕した。
気温上昇について、成果文書は「世界の平均気温の上昇を1.5度に抑える努力を追求することを決意する」と明記。2015年に採択された「パリ協定」では、「気温上昇を2度未満に保つとともに、1.5度に抑えるよう努力する」とされていたが、今回の合意はここから一歩踏み込んだ内容となった。
石炭火力発電を巡る議論は、インドと中国が立ちはだかる形で最終盤までもつれ込んだ。議長国である英国は当初、「段階的な廃止」で全体の合意を取り付けることを目指していたが、採択直前の13日夕、インド代表が「廃止」を「削減」に変更するよう提案。一部の国からは拍手が上がり、土壇場での反対論に会場がざわつく一幕となった。
インドの提案に対して、途上国の後ろ盾となっている中国も同調。スイスや欧州連合(EU)の代表は、文言の変更に失望を示しながらも、成果文書の採択を優先して変更自体に反対はしなかった。気候変動による海面上昇の危機にさらされているマーシャル諸島の代表もインドの提案に反発したが、「落胆とともにこの変更を受け入れる」と苦渋の判断であることをにじませた。
シャーマ議長は、最終局面での変更となったことに「この展開を謝罪する」と述べ、全体の合意を取り付ける上でやむを得ない対応だったと涙ぐみながら説明した。「廃止」から「削減」へと表現は弱められたものの、温室効果ガス排出の大きな原因となっている石炭の使用削減について、気候関連の文書が明言するのは今回が初めてで、個別の分野に踏み込むことも異例となった。
合意文書ではこのほか、途上国の気候変動対策への支援として、先進国が既に約束している1,000億ドルの拠出を2025年まで維持していくことや、これまでの会議で難航していた「パリ協定」の実施に向けたルールについても合意に至った。[環境ニュース]
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