英スコットランドのグラスゴーで開かれている国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)は12日、閉幕予定日を迎える。議長国の英国は合意文書の草案で、2030年までの温室効果ガスの削減目標引き上げなどを各国に求めているが、閉幕までの合意形成は困難との見方も強い。世界の気温上昇幅を1.5度以内に近付ける目標へ向け、交渉は佳境に入った。
アロク・シャーマ議長は11日に開かれた総会で、会期終了までに全ての交渉を終わらせる決意を強調。「世界は私たちを見ている。そして、われわれが協働し、合意することを求めている。もはや失敗している余裕はない」と述べ、交渉に当たる各国の代表団らに対して、成果を上げる必要性を訴えた。
英国は10日、COP26の合意文書の草案を公表。地球温暖化対策の国際的枠組み「パリ協定」で決まった、今世紀末までの気温上昇幅を1.5度に抑えるという目標達成のため22年末までに30年までの温室効果ガス排出量削減目標を引き上げるよう各国に求めている。これは以前の目標である25年より3年前倒しした内容となった。
草案の内容は、米国や欧州連合(EU)が支持しているものの、中国やロシアなど一部の温暖化ガスの高排出国は抵抗している。ジョンソン英首相は同日、グラスゴーを再度訪問し、各国の説得に当たった。この日の記者会見では、気温上昇を1.5度未満とし、パリ協定を成功に導くために「あらゆる手段を講じる必要がある」と呼び掛けた。また、1.5度の目標について会期中に合意に至ることは可能であるとの見通しを示した。
COPは通例、合意がまとまらなければ会期が延長されている。ただ、ジョンソン首相も延長は「したくない」と述べている。
COP26ではこれまで、森林破壊をなくすことや石炭火力発電の廃止、化石燃料事業への公的融資中止などで各国が合意している。また、英政府は自動車大手6社などと40年までに新車からの温室効果ガス排出量をゼロにすることを目指す宣言にも署名した。ただ、一部の国は署名を見送っており、これらの合意が骨抜きにされるとの指摘もある。[環境ニュース]
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