英国は10日、スコットランドのグラスゴーで主催している国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)の合意文書の草案を公表した。2022年末までに、30年までの温室効果ガス排出量削減目標を引き上げるよう各国に求めている。COP21で採択された地球温暖化対策の国際的枠組み「パリ協定」では25年までとしていたが、大幅に前倒しする格好となる。
197カ国・地域が署名したパリ協定は、産業革命以前と比べた世界の気温の上昇幅を2度未満に抑えるとともに1.5度未満に近づける目標を掲げる。しかし、COP26に先立ち世界152カ国・地域から提出された排出量削減目標では、今世紀末までの気温上昇幅が2.5~2.7度に達する見込みのため、目標の厳格化が急務となっている。加えて、世界各地で気候変動の影響が表れる中、気温上昇幅を1.5度に抑える必要性も指摘されている。
草案では、今世紀末までの気温上昇幅を1.5度に抑えるためには、30年までに世界の温室効果ガス排出量を10年の水準に比べて45%削減する必要があると指摘。各国に目標の厳格化を求めるとともに、来年11月以降に毎年、これに向けた閣僚級会合を開くとしている。このほか、石炭使用や化石燃料補助の段階的廃止、気候変動への対応が困難な開発途上国への先進国による支援増加も盛り込まれている。
草案の内容は、米国や欧州連合(EU)が支持しているものの、中国やロシアなど一部の高排出国は抵抗している。英国のジョンソン首相はこの日、グラスゴーに戻り、各国の説得に当たっている。合意文書の文面は、今後の交渉を経て大きく変わる可能性もある。COP26は12日午後6時に閉幕する予定だが、合意がまとまらなければ延長される可能性もある。[環境ニュース]
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