英政府は20日、ニュージーランドと自由貿易協定(FTA)で大筋合意した。英国の国内総生産(GDP)を押し上げる効果はほとんどないが、英国が来年末までの妥結を目指す「環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定(CPTPP、通称TPP11)」加盟への足掛かりになると期待している。
ジョンソン英首相とニュージーランドのアーダン首相はこの日、ビデオ通話で協定に合意。交渉は16カ月に及んだ。ジョンソン氏は「協定により輸出業者のコストが削減され、ニュージーランドの雇用市場が英国の専門職に開かれる」と述べた。協定では、6月に大筋合意したオーストラリアとのFTAと同様に、英国の農業市場が開放される。また自動車や繊維製品などの英国製品の関税が撤廃され、弁護士や建築士など英国の専門資格がニュージーランドでも認められる。
ただ、英国の貿易高に占めるニュージーランドの割合は0.2%弱しかなく、このFTAがGDPを押し上げる効果は、あったとしても0.01%程度にすぎない。しかし英政府は、同国やオーストラリア、カナダ、日本など11カ国が加盟するCPTPPの加盟交渉に弾みがつくとみている。
合意に対して全国農業者連盟(NFU)は、英国の農家に打撃を与え、食品の基準を引き下げる可能性があると指摘。同連盟のバターズ会長は、「英国の農家にはほとんど見返りもなく、大量の輸入食品に門戸を開くもの」と批判している。これに対してトレベリアン国際貿易相は、「双方向で農産物を共有する機会が得られる」として、英国の農家が心配する必要はないと述べている。
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