英国の国際通商省は23日、スコットランドとウェールズ、北アイルランド、イングランド北部に、新たな貿易・投資ハブを創出すると発表した。欧州連合(EU)離脱の打撃を受けている輸出の支援と、政府が取り組む新たな国際貿易戦略の恩恵を最大化する狙い。
国際通商省は今回、エディンバラ、カーディフ、ベルファスト、ダーリントンの4都市をそれぞれの地域ハブに指定。各地の事業者に輸出や投資の専門家によるサービスを提供するほか、同省が管轄する対英直接投資を促進する新組織「投資局」と直接連携させる。地域ハブには2025年までに計550人、30年までには750人の職員を配属する計画だ。
トラス国際貿易相は「英国の貿易政策の恩恵を国内各地に波及させる」と説明。地域ハブの設置により、投資を国内各地に振り向けるほか、各地の輸出業者が成長市場に進出するための専門的なサービスを提供することが可能になると話した。
政府が先に実施した調査によると、輸出業は650万人の雇用を支えており、うち74%はロンドン以外の地域を拠点としている。また、輸出業の直接・間接雇用の給与水準は、全国の中央値を約7%上回るとみられる。ハブを設置する4地域の昨年の輸出高は984億ポンドだった。
1月の英国の対EU物品輸出高(貴金属除く)は前月比40.7%減となり、1997年の統計開始以降で最大の落ち込みを記録。EUからの物品輸入高は28.8%減少した。英政府は現在、オーストラリアやニュージーランド、日本など11カ国が参加する「環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定(CPTPP)」などと貿易交渉を進めている。
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