英国は1日、日本などが参加する環太平洋連携協定(TPP)への加盟を正式に申請した。これに合わせてトラス国際貿易相は、TPPの輪番議長国を務める日本の西村経済再生担当相やニュージーランドのオコナー貿易・輸出振興相とオンライン会談を行い意見を交換した。加盟交渉は年内に開始される見通し。英国は欧州連合(EU)離脱からちょうど1年が経つ中、同協定を通じた新たな貿易関係の構築を目指す。
英政府は「TPPへの参加により、メキシコやマレーシア、ベトナムなどの急成長市場や主要経済国への英企業のアクセスを深めることができる」としている。
英国は昨年9月、TPP参加に向け、参加11カ国と初の協議を行っていた。同協定に新たな国が参加を申請するのはこれが初めてとなる。TPPは2016年、米国も含めた12カ国間の自由貿易協定(FTA)として締結されたが、米国のトランプ前政権が17年に離脱。18年に残りの11カ国間の新協定として「環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定(CPTPP、通称TPP11)」が発効した。日本とニュージーランドのほか、ブルネイ、シンガポール、チリ、カナダ、マレーシア、メキシコ、ペルー、ベトナム、オーストラリアが参加する。
英国とTPP参加11カ国との19年の貿易高は1,110億ポンドで、16年以降、年8%のペースで伸びている。ただ、これらの国が英国の輸出に占める比率は8.4%と、ドイツ1カ国への輸出と同水準にとどまる。また英国は既に、日本など一部のTPP参加国とFTAを結んでいるほか、参加各国とは地理的に離れているため、同協定への加盟による効果は限定的となる見通し。
フィナンシャル・タイムズによると、ジョンソン首相は、米国のバイデン新政権もTPPへの参加を目指すと期待している。英国は、米国とのFTAの早期締結を目指しているが、EU離脱から1年が経過しても、実現のめどは立っていない。こうした中、英政府はTPPを通じた米国との貿易関係強化を狙っているとみられる。
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