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英EU、通商協定で合意 移行期間終了直前の土壇場で

英国と欧州連合(EU)が24日、将来的な関係を巡る交渉で妥結し、新たな自由貿易協定(FTA)の締結で合意した。交渉は9カ月の長丁場となったが、英海域での漁業権など対立が続いた主要な争点で双方が譲歩し合った。英議会による承認と、EU加盟27カ国による暫定承認が必要となるが、大半の製品で無関税を維持できるため、移行期間が切れる来年1月1日以降の経済的大混乱は回避されそうだ。

英国とEUの新たなFTAでは、原産地規則を満たしている製品の輸出は無関税・上限枠なしとなる。一方、通関手続きは発生するため、年明けに物流面である程度の遅延が生じる可能性があるとみられている。また、環境保護や気候変動対策、炭素価格設定などの面で平等な競争条件(レベル・プレイング・フィールド)を確約。英海域での漁業権については、5年半の緩和期間中は漁業権の25%を英国に返上し、それ以降は毎年交渉することになる。運輸面では、EU単一市場ほどの恩恵は受けられないものの、陸海空のつながりは維持される。人の移動では、英国民は今後、EU域内で自由に就労、就学、起業はできなくなり、旅行などでの滞在は90日間に限られる。

治安維持では、法の施行や司法での協力を巡る新たな枠組みを設ける。特に国境を越えた犯罪・テロに対してより堅強な協力関係を構築する必要があるとの認識だが、今回の合意では外交政策や国防における協力などの内容は盛り込まれなかった。ガバナンスについては、今回の合意事項を正しく使用・認識するための合同評議会が設立される。英国は欧州司法裁判所の影響下から外れる格好。また、片方が同国・地域の規制当局を使って不公平な補助金支給や競争をゆがめる行為を行うことを避けるよう定めている。

ジョンソン英首相は記者会見で、国境や法律などで主権を取り戻したと強調。「欧州全体にとって良い合意内容」だと自信を示した。フォンデアライエン欧州委員長は「長く曲がりくねった道だった」と振り返り、「公平かつバランスの取れた協定。双方にとって正しく、責任のあること」とコメント。EU離脱協定を含め4年以上にわたり交渉に尽力したEUのバルニエ首席交渉官は会見で「時計はもう(残り)時間を刻んではいない」と感慨深く語り、次は欧州議会と各国首脳が合意内容について意見する番だとした。

英国とEU間の貿易高は6,600億ポンド規模で、双方にとって過去最大のFTAとなる。

英議会は30日、合意内容を国内法化するための採決を行う。最大野党・労働党のスターマー党首は党として賛成票を投じる意向を示している。一方、欧州議会による年内の批准はないため、欧州委は欧州議会の批准を保留したまま、閣僚理事会に対し、来年2月28日を期限に暫定的に適用を承認することを提案している。


関連国・地域: 英国EU
関連業種: マクロ・統計・その他経済政治

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