ジョンソン首相は向こう数日中にブリュッセルを訪問し、フォンデアライエン欧州委員長と対面で会談する。英国と欧州連合(EU)の将来的な関係を巡る交渉が最終局面でなお足踏みを続ける中、トップ会談で解決を図る。両首脳が7日、共同声明で明らかにした。英国側はこれに先立ち、EUが問題視している英国内市場法案のEU離脱協定に反する条項を撤回する可能性を示している。
両首脳はこの日、電話で1時間半にわたり協議の現状について会談。会談後に出した共同声明で、「平等な競争条件(レベル・プレイング・フィールド)の確保と英海域での漁業権、統治の三つの重要問題でなお大きな相違があるため、協定を締結する条件は整っていない」との認識を示した。その上で、ブリュッセルでの首脳会談に備え、「残された相違点の概要をまとめるよう双方の交渉団に要請した」と明らかにした。
EUのバルニエ首席交渉官と英国の交渉担当を務めるデービッド・フロスト氏が率いる双方の交渉団は、6日からブリュッセルで協議を行っていた。両首脳が交渉団に対し、さらなる協議の継続ではなく相違点の報告を指示したことを受け、交渉は政治的レベルでの大詰めを迎えることになる。
一方、英政府はこの電話会談に先立ち、EUがかねて撤回を要求している国内市場法案の一部条項を削除する可能性を示した。これらの条項は、EU離脱協定に付随する「北アイルランド国境問題にかかわる議定書」の一部を英政府の一存で無効にできるもの。英政府は、英国のゴーブ内閣府担当相と欧州委員会のシェフチョビッチ副委員長が進めているEU離脱協定の実施に関する協議で、検討中の解決策がまとまれば、これらの条項を法案から削除するとしている。
ただ、EU側のある高官は英国の姿勢変更について、「不法行為をレバレッジとして利用しようとしている」と批判。「相手が言うことを聞けば法律を守ると言っているようなもの」と指摘している。
EUは、10~11日に開くEU首脳会議(サミット)までに交渉をまとめることを目指している。ただし交渉で合意しても、英国のEU離脱後の移行期間が終了する12月31日までに発効させるためには、それまでにこれを法的文書にまとめてEUの全公用語に翻訳し、欧州議会が批准する必要がある。協定の内容によっては、EU加盟国の議会の批准が必要になる場合もある。
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