英政府は21日、欧州連合(EU)との将来的な関係を巡る対面での交渉を再開すると発表した。EU側に妥協の姿勢が見られると判断したためで、22日午後から25日まで毎日、ロンドンで協議を行う。交渉の全分野で双方が法的文面案を持ち寄り、最終的な協定案に落とし込む作業に着手する。一方、平等な競争条件(レベル・プレイング・フィールド)や漁業権などの争点については、並行して協議も続けられる。
英国の交渉担当を務めるデービッド・フロスト氏とEUのバルニエ首席交渉官はこの日の電話会談で、10項目から成る今後の交渉方針で合意した。それによると、今後は全分野で同時並行的に法的文面に基づく作業が進められる一方、レベル・プレイング・フィールドや統治、漁業権、エネルギー、製品・サービスなどの政治的な争点では、並行して引き続き協議が行われる。まず22~25日にロンドンで対面での交渉を行い、その後、必要に応じて対面またはテレビ会議で交渉が続けられる。
交渉期限は示されていないが、フィナンシャル・タイムズによると、英国側は11月上旬の合意を目指している。
ジョンソン英首相は、EUが先の首脳会議(サミット)後の声明で英国のみに妥協を求める姿勢を示したことを受け、態度を硬化。EUの姿勢に「根本的な変化」が見られるまで交渉を停止するとしていた。これを受け、フロスト氏は19日に予定されていたEU交渉団のロンドン来訪を拒否したものの、その後も毎日、バルニエ氏と電話会談を継続。21日にはバルニエ氏が欧州議会への報告で「双方に妥協が必要」とコメントしていた。
ジョンソン首相周辺はこれを「EUの譲歩」と位置付け「これでようやく本格的な交渉が開始できる」と強調している。ただ実際には、バルニエ氏はかねてこうした発言を繰り返しており、EUの交渉姿勢が大きく変わったわけではないとの見方もある。また、合意成立に向けては英国側の一定の妥協が避けられないとみられる。
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