ジョンソン英首相は16日、欧州連合(EU)との将来的な関係を巡り、世界貿易機関(WTO)ルールに基づく貿易に備えるべきとの考えを示した。EUがこの日に閉幕したサミット(首脳会議)で、あくまで英国に妥協を求める姿勢を示したため。ただ、EUは今後も交渉を続ける姿勢を示しており、同首相も交渉を完全に打ち切る決断には踏み切らなかった。
ジョンソン首相はかねて、今回のEUサミットまでに合意のめどが立たなければ、交渉を打ち切りWTOルールに基づく貿易に備えるとしていた。だが、EUはサミット後の声明で、バルニエ首席交渉官に向こう数週間にわたり交渉を続けるよう要請。英国に対しては「合意を可能とするのに必要な動き」を求めた。
これを受け、ジョンソン首相はこの日のテレビ演説で、「来年1月1日に向け、(EUと自由貿易協定を結んでいない)オーストラリア型の準備を行うべきとの結論に達した」と話した。ただ、交渉を打ち切るとは明言せず、「(EUの)姿勢が根本的に変われば、もちろん聞く耳はあるが、サミットの結果からはそのようには見えない」と述べるにとどまった。
英・EU間の交渉は、10月2日に最終ラウンドが終了したものの決着がつかず、7日に追加ラウンドが開始された。現在は、残された最大の争点である国家補助と漁業権の問題を中心に、集中的な協議が行われている。ロイター通信によると、EUの交渉団はすでに、来週のロンドンでの協議に向けた準備を整えており、引き続き協議が行われる見通しだ。[EU規制]
※本コメント機能はFacebook Ireland Limitedによって提供されており、この機能によって生じた損害に対して株式会社NNAは一切の責任を負いません。