日英両政府は11日、包括的経済連携協定(CEPA)を大筋で合意したと発表した。交渉開始から約3カ月でのスピード合意となる。今後、両国内での批准手続きを経て、来年1月1日の発効を目指す。英国が欧州連合(EU)離脱後に主要な貿易相手国との自由貿易交渉を妥結するのは初めて。
茂木外相とトラス国際貿易相はこの日、テレビ会議で大筋合意に達した。両国は6月9日に自由貿易交渉を開始。日・EU間の経済連携協定(EPA)を土台に協議を進めてきた。英国のEU離脱後の移行期間が終了する12月31日までの発効に向け、当初は7月中の交渉妥結を目指していたが、英国が求める日本の農作物市場へのアクセスなどがネックとなり、ずれ込んでいた。
茂木氏によると、日英CEPAでは日EU・EPAに基づく英国市場へのアクセスや関税率を維持した上で、鉄道車両や自動車部品などで英市場へのアクセスを改善。一方、英国産の農林水産品については、日EU・EPAを上回る新たな割当枠は設けなかった。トラス氏はかねて日本側に、英国産チーズなど農産品の輸入拡大を求めていたが、これに応じなかった格好となる。
原産地規則では、EU製の部品を日本の原産品として認める「拡張累積」を導入したため、日本のメーカーがEUから調達した部品を使った製品を英国に輸出する場合、これまで通り特恵関税が適用される。
一方、電子商取引(eコマース)、金融サービス、競争政策、ジェンダーなどについては日EU・EPAより先進的なルールを規定した。英政府によると、英国の金融サービス企業の日本での事業免許取得手続きが簡素化されている。
英政府は日英CEPAの締結により、日本への輸出の99%が無関税となり、長期的に見て英経済を15億ポンド押し上げると成果を強調している。ただ、これは英国の国内総生産(GDP)のわずか0.07%に過ぎず、対日貿易高が貿易高全体に占める比率も2%にとどまる。このため、EUとの貿易交渉がまとまらなかった場合の損失を埋めるには程遠く、英産業界は引き続き対EU交渉の妥結を求めている。
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