ジョンソン首相は7日、欧州連合(EU)との将来的な関係を巡る交渉を10月15日までに妥結させる必要があるとの考えを示した。これが実現しなければ、合意なき離脱となるものの、英国にとってそれは「良い結果」になるとしている。
同首相は、「対EU交渉は最終局面を迎えている」とした上で、EU離脱後の移行期間が終了する12月31日までに新協定を発効させるためには、10月15日に予定されるEU首脳会議(サミット)までにEUと合意に達する必要があると説明。これが実現しなければ、自由貿易協定は諦めて前進するべきと話した。
ただ、「それは英国にとって良い結果となる」と強調。法規制や漁業権を完全に支配し、世界各国と自由に貿易協定を結ぶことが可能となり、結果的に「英国は力強く繁栄する」との見方を示した。EUがカナダ型の自由貿易協定を受け入れれば、今からでも合意は可能だが、「独立国家としての原理原則で妥協することはできない」としている。
EUのバルニエ首席交渉官もかねて、交渉妥結の成否は10月に明らかになるとしていた。英国とEUは先に、将来的な関係を巡る交渉の第7ラウンドを終了したが、EUが求める公正な競争条件(レベル・プレイング・フィールド)に英国が応じず、大きな進展は見られなかった。バルニエ氏は、「現時点では、合意がまとまる可能性は低い」との見方を示している。
■新法案で離脱協定の一部をほごに
英政府は近く公表する国内市場法案などに、EUと結んだ離脱協定に反する内容を盛り込むもようだ。国家補助や英領北アイルランドの関税など、同協定の重要部分を無効とする見通し。政府はこれが国際法に反することも承知の上という。関係者の話を元に、フィナンシャル・タイムズが7日伝えた。
EU離脱協定は、ジョンソン首相自身が昨年10月にEUと締結したもの。新法案は、来年以降のイングランドとウエールズ、スコットランド、北アイルランドの間の通商の円滑化に向けて打ち出されるもので、この中に、英政府が同協定に反する国内法を導入する権利を保有すると明記される見通し。このほか、政府は新年度予算の実施に向けた秋季財政法案にも、北アイルランドに流入する製品の関税について、離脱協定と相いれない内容を盛り込む方針という。[EU規制]
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