日英間の自由貿易協定(FTA)交渉が大詰めを迎える中、茂木敏充外相が5~7日の日程で英国を訪問し、トラス国際貿易相と会談する。交渉妥結に向け閣僚レベルで争点の解決を目指す。ただ、「国益を懸けた難しい交渉」のため、協議は長丁場になるとの見方を示している。
茂木氏は4日の記者会見で、「トラス氏とは新たな日英間の経済パートナーシップの早期交渉妥結に向けた詰めの協議を行う」と説明。「新協定は二十数章の構成にとどまる見通しで、大部分の論点については既に事務レベルで議論の詰めが行われている」とした上で、「残された論点について閣僚レベルで協議し、合意する必要がある」と話した。
具体的な論点には言及しなかったが、報道では英国の輸出品の原産地規則や、日本の農産物市場の開放、日本製の工業製品に対する関税などが最大の争点とされる。同相は、「国益を懸けた難しい交渉で、電話では無理なので実際に会って交渉する必要がある。長時間の交渉になるだろうが、妥決点を見つけたい」と話した。
両国は6月上旬に新協定の交渉を開始。日本と欧州連合(EU)の経済連携協定(EPA)をベースに協議を行い、英国のEU離脱後の移行期間が終了する12月31日までに締結することを目指している。茂木氏は、「交渉は最終期限が決まっており、それまでに合意がまとまらなければ、日英間のビジネスに大きな影響が出る」と話している。
同相は5日にラーブ英外相と会談し、新型コロナウイルス対策や安全保障問題などについて協議した後、6~7日にトラス氏と会談する予定。
なお、日本の閣僚による海外訪問は、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的流行)以降で初めて。茂木氏および随行者は、チャーター機で移動し、英国での接触相手の制限や帰国時の検査を徹底することにより、2週間の自主隔離が免除される。
■トラス氏、米USTR代表と協議へ
トラス国際貿易相は近く訪米し、ライトハイザー米通商代表部(USTR)代表と会談するもようだ。USTRの発表を元に、ロイター通信が4日伝えた。
両氏の会談は8月10日および11日に予定されている。英政府は7月、米国とのFTA交渉を11月の米大統領選挙前に妥結することを断念したと報じられていた。
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