英国と日本は9日、自由貿易協定(FTA)交渉を開始した。初会合はビデオ会議形式で行われ、トラス英国際貿易相と茂木敏充外相が会談。双方とも、英国の欧州連合(EU)離脱後の移行期間が終了する12月31日までのFTA締結を目指すとしている。
日英貿易は、現在は従来通り日・EU経済連携協定(EPA)に基づいて行われているが、移行期間が終了する年末までに日英間で新貿易協定がまとまらなければ、来年1月1日以降は世界貿易機関(WTO)のルールに基づく関税や輸入量の割り当てが導入される。
英政府は、日・EU間のEPAをベースに、デジタル分野やサービス分野などでさらに踏み込んだFTAを目指すとしている。5月に公表した対日FTA交渉方針では、金融サービスや繊維・革製品、農業、自動車、クリエーティブの各分野でも日本に市場開放を求める方針を打ち出していた。また、対日協定は、日本やカナダ、オーストラリアなど11カ国から成る「環太平洋パートナーシップに関する包括的および先進的な協定(CPTPP、通称TPP11)」加盟に向けた重要な一歩になるとみている。
トラス国際貿易相は交渉開始に当たり「日本との協定は、国内全地域の企業や国民により大きな機会を提供するとともに、新型コロナウイルスによる前例のない試練を受けた経済の再活性化を促す」と話した。
英国の交渉団は約100人から成る。首席交渉官は、元駐コンゴ民主共和国大使のグレアム・ゼベディ氏が務め、国際貿易省のクロフォード・ファルコナー首席貿易交渉顧問が交渉の監督役を務める。
茂木外相はトラス氏との会談で、英国のTPP11への関心を歓迎し、必要な支援を継続する姿勢を示した。また梶山経済産業相はこの日の会見で、「対英輸出関税について、自動車や自動車部品を中心に、できる限りの関税撤廃期間の前倒しを目指す」と話した。デジタル貿易についても、「よりハイレベルな規定の導入」を目指すとしている。
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