欧州連合(EU)は25日に開いた総務理事会で、英国との将来的な貿易関係の交渉方針を承認した。EUの法規制に基づく基準を貿易協定の「参照点(リファレンスポイント)」とするよう求める内容で、EUのバルニエ首席交渉官は、これに基づき英国との交渉を進めることになる。英政府もこの日に対EU交渉方針を閣議承認しており、3月2日には貿易交渉が正式に始まる運びとなった。
46ページにわたる交渉方針書によると、EU側は「国家補助、競争、国有企業、社会・雇用基準、環境基準、気候変動、関連する税制」などの分野について、英・EU間の貿易協定で「今後もEU基準をリファレンスポイントとして、相応の高い基準を保つ必要がある」と考えている。
また、ジョンソン首相が昨年10月にEUと合意した離脱協定に基づき、英領北アイルランドをEUの関税同盟と単一市場にとどめ、英本土との間で通関検査を行うことを改めて要求。英国がこの約束を守ることが交渉の前提としている。
ジョンソン首相はかねて、EU・カナダ間の包括的経済貿易協定(CETA)をモデルとした自由貿易協定を目指しており、EUとの規制の連動には応じないとしている。また、昨年12月の総選挙に向けた演説で「英本土と北アイルランドの間では一切、検査は行われない」と発言したことから、EU側は英国が離脱協定の約束をほごにするとの警戒感を強めているとみられる。
英政府もこの日の閣議で対EU交渉方針を承認し、27日には議会とオンラインで公表する予定となっている。双方の交渉方針が固まったことを受け、3月2日の交渉開始に向け準備が整った格好となる。[EU規制]
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