欧州連合(EU)離脱協定法案が23日、エリザベス女王の裁可を得て成立した。上院は先に在英EU市民の権利保護などに向けた修正案を可決したものの、下院で全て否決され、同法案は最終的に無修正のまま上院も通過した。EU離脱に向けた英国側の法的手続きは、これで完了した格好となる。1月29日には欧州議会も離脱協定を批准する見込みで、英・EUの協定への署名を経て1月31日の期限に離脱が実現する見通しとなった。
EU離脱協定法案は、9日に与党・保守党が支配する下院を無修正で通過した後、上院での審議が開始された。保守党が過半数の議席を持たない上院では、在英EU市民のブレグジット後の権利保護や、欧州司法裁判所の判決を巡る英政府の権限の制限、子どもの難民の受け入れなどに向けた修正案が可決されたものの、22日に下院で全て覆され、上院はその後に無修正のまま同法案を可決していた。
ジョンソン首相はこれを受け「英国はブレグジットのゴールラインを越えた」とコメント。「英国はこれで長年の怨恨と分断を乗り越え、一致団結して前進できる」と話していた。
離脱協定法案は、ジョンソン首相が昨年10月にEUと合意した離脱協定の内容を国内法化するもので、英国のEU拠出金の清算や、2020年末までを移行期間とすること、英領北アイルランドとアイルランドとの国境を巡る措置などが含まれている。ただ、離脱協定では移行期間を最長2年間延長できるとしているものの、同法案ではこれを禁止している。
欧州議会は1月29日に離脱協定の審議を行うが、形式的なもので批准はほぼ確実視されている。その後、EUのミシェル大統領およびフォンデアライエン欧州委員長とジョンソン首相が同協定に署名すれば、1月31日までにEU離脱に向けた全ての手続きが完了することになる。
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