英下院(定数650)は9日、欧州連合(EU)離脱協定法案を巡る本採決を行い、賛成330票、反対231票で可決した。法案は上院での審議を残しているが通過は確実で、英国が1月末でEUを離脱することが事実上確定した格好だ。BBC電子版などが伝えた。
EU離脱協定法案の審議は7日に再開し、2日間で新たな条項案5件と条項の修正案2件を巡り投票が行われた。これらには、1月31日までに英国に移住したEU市民に永住権を付与するものや、英・EUの将来の関係や貿易交渉内容を巡り英下院議員に投票する権利を付与するものなどがあった。また、英領北アイルランドの民主統一党(DUP)など北アの超党派は、英本土市場への無制限のアクセスを保障する案を提出。しかし、与党・保守党は昨年12月の総選挙で365議席を獲得しており、いずれの案も大差で否決されたか、投票まで持ち込まれなかった。
法案は13日の週に上院で審議され、何らかの修正案が可決された場合は下院に差し戻され、再採決が行われる。
なお8日にはスコットランド議会が、EU離脱協定法案を認めないとする動議を92対29の賛成多数で可決していた。これにはスコットランド民族党(SNP)に加え、最大野党・労働党と自由民主党、緑の党も賛成票を投じた。
第2次ジョンソン内閣はEU離脱協定法案で、離脱後の移行期間の延長を禁止しており、12月31日までの対EU貿易協定締結に意欲を示している。ただ、これが実現しなければ、2021年からは世界貿易機関(WTO)の条件に基づいてEUと貿易を行うことになる。ジョンソン首相と8日に会談したフォンデアライエン欧州委員長は、こうしたスケジュールは非現実的との見方を示している。
※本コメント機能はFacebook Ireland Limitedによって提供されており、この機能によって生じた損害に対して株式会社NNAは一切の責任を負いません。