ジョンソン首相は8日夕、ロンドンで欧州委員会のフォンデアライエン新委員長と初めて会談を行った。会談では、1月31日の欧州連合(EU)離脱後に開始される英・EU間の将来的な貿易交渉に向け、双方が基本的な姿勢を示した。ジョンソン首相はかねて、12月31日までの移行期間を延長しない方針で、年内の交渉妥結を求めているが、フォンデアライエン委員長はこうしたスケジュールは非現実的との見方を示している。
フォンデアライエン氏は会談に先立つ演説で、「2020年以降に移行期間を延長しない限り、新たなパートナーシップのあらゆる側面について合意に達することは期待できず、優先順位をつける必要がある」と述べた。対英交渉では、EUと単一市場、関税同盟の保全を巡る妥協はできないとした上で、関税も割当量もダンピング(不当廉売)もない新たなパートナーシップの構築に意欲を示し、「困難な協議になるだろうが、英国は今後もEUの信頼できるパートナーだ」と話した。
ジョンソン首相がEUと合意した離脱協定は、1月末までに英議会と欧州議会で批准されると予想。「離脱当日は困難で悲しい日になるだろう」とした上で、「2月1日にはまた日が昇り、EUと英国は親友でありパートナーであり続ける」と話した。また、外交・安全保障面では、ブレグジット後も緊密な協力が必要としている。
EU法では、英国が正式にEUを離脱しない限り、貿易交渉を開始することはできない。EU加盟各国は1月31日に英国が離脱した後、欧州委員会に対英貿易交渉の権限を委ねることで合意する必要がある。こうした手続きを経て貿易交渉が開始されるのは3月上旬となる見通しだ。[EU規制]
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