英下院(定数650)は7日、欧州連合(EU)離脱協定法案(WAB)を巡る審議を再開した。31日のEU離脱後に設けられる11カ月の移行期間など、法案の詳細が争点となり、9日に第3読会が開かれる予定。与党・保守党は昨年12月の総選挙で365議席を獲得しており、同法案の下院通過は確実視されている。BBC電子版などが伝えた。
下院では今回、78ページに及ぶWABの修正案のうち、採用されたものを議論する。WABは昨年末の第2読会を、賛成358票、反対234票の大差で通過。第2次ジョンソン内閣は法案の内容を一部変更し、離脱後の移行期間の延期を禁止しているが、最大野党・労働党は議会に期間延長の是非を決定する権利を与える修正案を提出した。自由民主党は、EUとの貿易交渉が6月1日までに妥結しない場合、移行期間の延長申請を義務付ける案を提示している。また、労働党、自民党、スコットランド民族党(SNP)の3党は、在英EU市民の権利を保障するよう求めている。なお、英領北アイルランドの民主統一党(DUP)は、北アとアイルランドの国境問題を巡る「バックストップ」の代替案を破棄する案を提出したが、これは採用されていない。
ジョンソン政権は移行期間内の対EU貿易協定締結に意欲を示しているが、これが実現しなければ、2021年からは世界貿易機関(WTO)の条件に基づいてEUと貿易を行うことになる。
ジョンソン首相は8日、フォンデアライエン欧州委員長とロンドンで初の会談を行う予定。EUのバルニエ首席交渉官も出席し、2月以降の正式な貿易交渉開始に向けた大枠を話し合うとみられる。ただ、同委員長を含むEU高官は、11カ月の交渉期間は短すぎるとの見解だ。AFP通信によると、フランスは移行期間の延長に前向きな姿勢を示している。
ジョンソン首相は昨年10月にもWABを提出し、第2読会での承認を獲得したものの、3日間で議論を終えるとする審議日程が否決されたため、審議が頓挫した経緯がある。この時の法案は下院の解散・総選挙に伴い撤回されている。
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