英国の議会が19日開会し、エリザベス女王が政府の作成した施政方針演説の原稿を読み上げた。演説では、来年1月31日のブレグジット実現や国民医療制度(NHS)への投資など、先の総選挙で大勝したジョンソン政権が成立を目指すおよそ30法案の概要が紹介された。
女王は演説の冒頭に、「政府の優先課題は、英国の欧州連合(EU)離脱を来年1月31日に実現すること」と宣言。また、ブレグジット後は「自由貿易協定に基づく将来的な対EU関係を目指すとともに、他の先進諸国との貿易交渉に着手する」と話した。
発表された法案のうち、「EU離脱協定法案(WAB)」を含む7法案はブレグジットに関連するもの。また、政府が約束したNHSへの追加投資を法的に義務付ける「NHS資金法案」も打ち出した。政府はかねて2023年度までにNHSに年339億ポンドの追加投資を行うとしている。
このほか、オーストラリア式のポイント型移民制度を導入する法案や、テロなどの重大犯罪の厳罰化や早期釈放の難化に向けた法案の成立も目指す。環境関連では、2050年までに温室効果ガス排出量を実質ゼロにする目標に向け、法的拘束力のある大気汚染基準を含む環境法案を策定する。同法案では、プラスチックごみを経済協力開発機構(OECD)非加盟国に輸出することも禁止する。
ジョンソン首相は「先週の画期的選挙により、政治的地図が書き換えられただけでなく、過去3年にわたる議会の行き詰まりが解消された」と述べ、今回の選挙で初めて与党・保守党に投票した有権者に報いるため、これらの政策に直ちに着手する方針を示した。
これに対し、最大野党・労働党のコービン党首は、「過去の労働党政権は、NHSへの投資を自ら法的に義務付ける必要などなかった」と批判。政府が約束した社会的ケアに関する法案が示されていないことも指摘した。
ジョンソン首相率いる保守党が650議席中365議席を占める下院では、施政方針の可決は確実視されている。政府は20日にもWABの審議を開始する方針だ。
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