英国で12日、総選挙の投開票が行われた。公共放送BBCは、投票が締め切られた午後10時(現地時間)に出口調査の結果を公表し、与党・保守党が下院(定数650)で単独過半数となる368議席を獲得するとの予測を明らかにした。ジョンソン首相は公約に掲げた「ブレグジットを成し遂げる(Get Brexit done)」とのスローガンを繰り返し、欧州連合(EU)離脱が最大の争点となった歴史的な選挙戦で有権者の支持を取り込んだ。長らく続いた議会の膠着(こうちゃく)状態にようやく終止符が打たれ、英国は1月末のEU離脱実現へと大きく前進する見込みだ。開票作業は投票終了直後から始まり、大勢は13日早朝に判明する見通し。
出口調査によると、保守党は解散時の298議席から大きく70議席を積み増す見通し。一方、最大野党・労働党は191議席と、選挙前の243議席から52議席を失う見込みだ。EU残留を公約に掲げていた自由民主党は13議席を確保し、スコットランド民族党(SNP)は20議席を新たに得て55議席に勢力を伸ばすとみられている。緑の党は1議席を確保する見通し。出口調査は調査機関イプソスMORIによるもので、投票所144カ所で2万2,790人を対象に実施された。
インターネット調査会社ユーガブ(YouGov)は投票日直前に公表した最新調査の中で、保守党が339議席、労働党が231議席を獲得すると予測していた。SNPは41議席、自由民主党は15議席を見込み、緑の党は1議席にとどまるとみていた。
投票は午前7時に始まり、午後10時で締め切られた。冬に選挙が行われたのは1974年以降で初めてで、とりわけクリスマスシーズンである12月に実施されたのは1923年以来のこととなる。朝から長い列ができた投票所もあり、有権者の関心の高さをうかがわせた。
下院選挙は650の選挙区で行われ、1区につき最多得票の1人だけが選出される完全小選挙区制度。今回は候補者3,322人が出馬した。選挙権は18歳以上にあり、選挙区はイングランドが533区と最も多く、スコットランドに59区、ウェールズに40区、英領北アイルランドに18区が割り当てられている。
各党の党首もこの日、朝早くに投票所へと足を運んだ。ジョンソン首相は自身の選挙区であるアクスブリッジ・アンド・サウスライスリップ選挙区ではなく、首相官邸が位置するロンドン中心部ウエストミンスターの投票所に愛犬を連れて訪れた。労働党のコービン党首も自宅から歩いてイズリントン北選挙区の投票所へ向かった後、ツイッターを頻繁に更新し、労働党に投票したことを明らかにする著名人の投稿を数多く引用した。SNPのスタージョン党首と自由民主党のスウィンソン党首はいずれもグラスゴーで投票した。
ジョンソン首相は選挙で勝利した場合、期限となっている1月末のEU離脱を確実に実行するため、EU離脱協定法案(WAB)の審議をクリスマス休暇前に開始する方針を示している。英下院では10月、WABの審議を継続することで合意がまとまったものの、3日間でのスピード審議を求める政府案が否決されたため膠着状態に陥った経緯があるが、保守党が過半数を握ればこうした状況が打破できる。
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