12月12日の総選挙に向けた選挙戦が終盤を迎える中、与野党とも自党の主要政策を集中的にアピールしている。ジョンソン首相率いる与党・保守党が英国の欧州連合(EU)離脱実現を訴える一方、最大野党・労働党は国民医療制度(NHS)への大規模投資を約束。病院の床に横たわり何時間も待たされる子どもの新聞写真を巡り、同首相がこれを見ようとせずコメントを拒否したことを強く批判している。BBC電子版が伝えた。
ジョンソン首相はこの日、イングランド中西部スタフォードシャー州を訪れ、どの党も過半数に達しない「ハングパーラメント(宙ぶらりん議会)」になれば、コービン氏が首相になる「明確で現実的な危険性」があると訴え、支持を求めた。各種世論調査では一貫して保守党が首位に立っているものの、労働党との差は縮まっている。同首相が公約通りブレグジットを実現するには、単独で過半数議席を獲得できるかどうかが焦点となることから、ジョンソン氏は選挙戦最後の3日間を主に労働党の地盤ながらEU離脱派が優勢な選挙区での遊説に費やし、票を奪うことを狙っている。
ただジョンソン首相を巡っては、9日付の大衆紙デーリー・ミラーが一面に掲載した病院の床に横たわる男児の写真への対応が強い批判を呼んでいる。民放ITVの記者はこの日、同首相へのインタビューで、自身の携帯電話の画面にこの写真を映し出してコメントを求めたが、同首相はこれを見ようとせず、「NHSには投資する」との公約を一方的に繰り返し、記者の携帯電話を取り上げて自分のポケットにしまい込んだ。
NHSの立て直しを訴える労働党のコービン党首はこの行動について、「首相はこの問題をどうでもいいと思っている」と強く批判。10日にはイングランド北西部ボルトンでの演説で「NHSを救うチャンスは(投票日の)木曜夜までしかない」と訴えた。
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