欧州議会(定数751)は27日、フォンデアライエン次期欧州委員長率いる欧州委員会の新体制の最終承認投票を行い、賛成461票、反対157票で承認した。当初予定より1カ月遅れた上、英国を除く状態ではあるが、初めて女性をトップを据えた新体制が12月1日に正式に発足する。フォンデアライエン氏は5年の任期の間、英国の欧州連合(EU)離脱や米国との貿易摩擦などの課題に取り組むことになる。
フォンデアライエン氏は採決前の演説を英語、ドイツ語、フランス語で行い、「欧州に新たな始まりを与えるために支援してほしい」と呼び掛けた。環境保護と気候変動対策については「浪費する時間はない」として多大な投資を行うことを公約。EUが将来的に結ぶいかなる貿易協定も、環境保護に関する項目が加わるとした。デジタル化についても、デジタル経済革命で世界をけん引するほどの影響力があると強調した。なお前任のユンケル欧州委員長体制は賛成423票、反対209票で承認されており、今回の賛成票はこれを上回っている。
新体制では新設の上級副委員長に、マルグレーテ・ベステアー氏(デンマーク、デジタル時代に適合した欧州総括)、フランス・ティメルマンス氏(オランダ、欧州グリーンディール総括)、バルディス・ドムブロフスキス氏(ラトビア、人々のためになる経済総括)の3人を起用。加えて、ジョセップ・ボレル氏(スペイン、外交安全保障上級代表)ら5人を副委員長に指名している。また、欧州委における女性の数はフォンデアライエン氏を含めて12人と、過去最多となっている。
今回の欧州委員候補の選出作業は、当初から苦難が続いた。欧州議会は9月30日、ハンガリーとルーマニアが擁立した候補を、経済的な利害関係に問題があるとして却下。フランスの候補は2度目の審問の後に却下された。そのため、3カ国は新たな委員候補を擁立する必要が生じ、公聴会の実施などで発足予定が1カ月遅れた。英国は、12月12日の総選挙実施と選挙期間中は国際的な役職の任命を行わないという国内指針を順守することを理由に候補を出しておらず、EU加盟国のうち英国を除いた27カ国は先に、27人体制での発足を承認していた。[EU規制]
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