スコットランド民族党(SNP)は、12月12日の下院(定数650)選挙でどの党も単独過半数の議席を確保できなかった場合、最大野党・労働党と何らかの連合を組む方針だ。与党・保守党によるブレグジットを阻止し、スコットランドの独立を巡る住民投票を実現する狙いで、SNPがキングメーカーとなる可能性が出てきた。同党を率いるスコットランド自治政府のスタージョン首相が8日、選挙に向けた決起集会で明らかにした。
SNPは下院で第3党につける。スタージョン党首はこの日の記者会見で、ハング・パーラメント(宙ぶらりん議会)となった場合、「労働党と正式な連立を組むことは考えられないものの、保守党政権を避けるためなら、何らかの形の連合を組むことを検討する」と明言。ただ、これに向けた交渉では、労働党に対し厳しい条件を提示する方針を示した。
SNPは選挙戦で、ブレグジット阻止とスコットランド独立を巡る住民投票の実現の二つを前面に押し出している。ただ、スタージョン党首はこの日の演説で、英国が欧州連合(EU)を離脱した場合、国民医療制度(NHS)への外国企業の参入を阻止する法案の提出も公約として掲げた。この法案では、EUとの将来的な貿易協定を巡り、スコットランドなど地方自治政府の承認を義務付けるとしている。労働党との連合に向けては、住民投票の実施に加え、これも条件として要求するとみられている。
労働党も、保守党政権がEU離脱後にNHSを米国の医療サービス企業に開放することへの危惧を共有している。また同党はかねて、2021年のスコットランド議会選挙でSNPが勝てば独立を巡る住民投票を認める方針を示している。ブレグジットについては、EU離脱協定の再交渉を行った上で、2度目の国民投票を実施することを公約に掲げる。
※本コメント機能はFacebook Ireland Limitedによって提供されており、この機能によって生じた損害に対して株式会社NNAは一切の責任を負いません。