英最大野党・労働党は7日、12月12日の下院(定数650)選挙で勝利すれば、学校や病院などの公共サービスに向こう5年で1,500億ポンドを投資する方針を打ち出した。併せて、グリーン政策にも向こう10年で2,500億ポンドを投じる。いずれも財源は借り入れによって確保するとしている。今回の選挙では与党・保守党も、低金利を生かした借り入れによる投資拡大を約束しており、どちらが勝利しても公的債務の拡大につながる見通しだ。
労働党のマクドネル影の財務相は、「与党・保守党による長年の緊縮財政と無策によるダメージを修復する」と約束。学校・病院への設備投資を含め「前例のない規模の投資を行う」と意欲を示した。グリーン投資については、エネルギー・運輸分野などを中心とし、既に発表した住宅の省エネ改修工事や、洋上風力発電、イングランド北部の鉄道クロスレールなどもこれに含める方針。いずれも、ロンドン以外の地域を重視する。具体案の一部は選挙までに発表するとしている。
これに対し、ジャビド財務相は、労働党の経済政策は「カネのばらまき、ファンタジー経済学だ」と批判する。ただ、保守党も、低金利を生かした投資拡大は生産性向上につながるとみており、党方針だった借入金の上限ルールや、交通インフラ投資を国内総生産(GDP)の3%以内とする規制を緩和する計画。また、イングランド北部を重視する方針を示しており、方向性としては両党の差が縮まっている。
こうした中、先に労働党を離脱したイアン・オースティン議員はこの日、公共放送BBCのラジオ・インタビューで、「コービン党首は首相にふさわしくない」と訴え、労働党支持者は今回の選挙でジョンソン首相を支持するべきとの考えを示した。同議員は、労働党内のユダヤ人差別問題を巡るコービン党首の無策を批判し、2月に離党。今回の選挙には出馬しないとしている。6日には労働党のナンバーツーで、党内中道派のまとめ役だったトム・ワトソン議員も下院選不出馬を宣言している。
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