金融情報サービス会社IHSマークイットは6日、10月のユーロ圏総合PMI(購買担当者景気指数、確定値)が50.6ポイントとなったと発表した。速報値から0.4ポイント上方修正され、2013年6月以降で最低を記録した9月からは0.5ポイント上昇。景気の「改善」と「悪化」の境目である50ポイントを76カ月連続で超えたものの、依然として低水準にとどまっている。
調査対象国のうち、ドイツは48.9ポイントと速報値から0.3ポイント上方修正され、前月を0.4ポイント上回った。フランスは52.6ポイントと速報値から変化がなく、9月からは1.8ポイント上昇している。イタリアは50.8ポイントと0.2ポイント上がった。半面、スペインは0.5ポイント下げて51.2ポイントと、過去71カ月で最も悪化。アイルランドは50.6ポイントと0.4ポイント下げ、過去89カ月で最低の水準に落ち込んだ。
ユーロ圏総合指数の新規受注は、前月に続き減少。輸出向けが13カ月連続で落ち込んだ。雇用は、増加基調を維持しているものの、伸びは過去4年超で最も減速した。仕入れ価格と出荷価格は共にわずかな上昇にとどまっている。事業見通しは、政治と経済の先行き不透明感により引き続き低迷している。
■サービス業は独仏共に改善
ユーロ圏のサービス業PMIは52.2ポイント。速報値から0.4ポイント上方修正され、前月を0.6ポイント上回った。国別では、ドイツが51.6ポイントと0.2ポイント上昇。新規受注は輸出向けが大きく落ち込み、全体でも2カ月連続で減少した。雇用ペースは2018年5月以降で最も減速したが、長期平均は上回っている。向こう12カ月の事業見通しは、過去7年近くで初めて悲観的な見方が優勢となった。
フランスは52.9ポイントと前月を1.8ポイント上回った。新規受注は、スペインやポルトガル向けの輸出が好調で、伸びが加速。雇用は2017年1月から続く拡大基調を維持した。イタリアは52.2ポイントと前月から0.8ポイント上昇。半面、スペインは0.6ポイント下げ52.7ポイントと、2018年9月以降で最低水準に沈んだ。
IHSマークイットのクリス・ウィリアムソン首席ビジネス・エコノミストは、ユーロ圏経済は10月も引き続き停滞しており、第4四半期(10~12月)中もこれが続くと予想。同期の域内総生産(GDP)成長率は0.1%との見通しを維持しつつも、これがマイナスに転じる可能性もあると指摘する。米国の関税やブレグジットなどの地政学的問題が影を落とす中、欧州中央銀行(ECB)のラガルド新総裁が就任後初となる12月12日の政策理事会で、追加の経済刺激策を打ち出すかどうか注目しているとした。
■英は分岐点に回復
IHSマークイットによると、10月の英国サービス業PMIは50ポイントとなり、前月から0.5ポイント上昇。6カ月ぶりに分岐点を下回った9月から回復した。英国の欧州連合(EU)離脱を巡る先行き不透明感が影響し、新規受注の縮小ペースは4月以降で最も速い。雇用は減少したが、落ち込み幅はやや緩和した。事業見通しは、2020年初めにはブレグジット問題がいくぶんか解決しているだろうとの期待を背景に改善している。
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