英国で12月12日に実施される早期総選挙について、トランプ米大統領は10月31日夜、ジョンソン首相と新党「ブレグジット党」のファラージ党首は連携して「止められない軍勢」を結成すべきだと発言した。ファラージ氏はこれに対して「何かしらの連合が必要だ」と前向きだが、与党・保守党はかねてブレグジット党から正式に協力を得ることはないとしている。BBC電子版が1日伝えた。
トランプ米大統領はまた、ジョンソン首相が欧州連合(EU)と結んだ新たな離脱協定案について、これでは米国と貿易交渉はできないと批判。ただ、具体的に離脱協定案のどの内容が障壁になるかは言及していない。英首相官邸の報道官はこれに対し、新たな離脱協定は英国の法律や貿易、国境と資金に対する自由を回復させるもので、世界中の国と自由貿易協定(FTA)を結ぶことを可能にすると反論している。同大統領は加えて、最大野党・労働党のコービン党首は英国の首相に適さないと断じ、ジョンソン首相が「現時点で最適」と言及。コービン氏はこれに対し、「英国の総選挙に干渉し、友達のジョンソン氏に肩入れしている」と非難した。
ファラージ党首は保守党と連携する場合、ブレグジット党の候補者の出馬を取り下げることでEU離脱派の票割れを回避する方針とみられる。同党首は一方で、選挙キャンペーンを1日夕から開始。ジョンソン首相はEUとの離脱協定案を取り下げ、FTA締結に向けて交渉すべきだと主張した。また、連携を拒否した場合、各選挙区に候補者を出して票割れを起こさせると脅している。
フィナンシャル・タイムズによると、労働党は今回の選挙戦で富裕層を標的とする方針のようだ。コービン党首は選挙キャンペーンの最初の演説で、英スポーツ用品販売大手スポーツダイレクト・インターナショナルのマイク・アシュリー最高経営責任者(CEO)といった富豪を名指しで批判し、「英国を一変させる1世代に1度のチャンス」と強調した。なお、ブレグジット阻止を前面に押し出す自由民主党は、同じく残留派であるウェールズ党、緑の党と連携する計画のようだ。
総選挙実施に向けた法案は30日に上院で可決され、31日に女王の勅許を得て法律として成立した。下院は11月6日で解散され、5週間の選挙期間が始まる。クリスマス前の繁忙期で天候も厳しい12月の総選挙は、1923年以降で初めてとなる。
国民の間では若年層を中心に選挙名簿登録の動きが活発化しており、英政府の統計によると、25歳以下の新規登録者数は10月28日の1万3,109人から、29日に4万4,667人、30日に5万9,181人、31日に3万4,688人へと膨れ上がった。全体では29~31日までの3日間で約42万4,000人が登録を申請。新たな選挙登録者の半数以上は34歳以下が占めている。
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