欧州連合(EU)のトゥスク大統領は28日、英国のEU離脱期限を1月31日に延期することで加盟27カ国が原則合意したと発表した。ただ、それ以前でも英下院と欧州議会で離脱協定が承認されれば、その時点で英国は離脱可能としている。これで、ジョンソン英首相がかねて国民に約束していた10月31日のブレグジット実現は果たされない格好となった。同首相はかねて12月の総選挙実施を求めており、この日夕に再び下院で採決が行われたが、否決された。
ジョンソン首相は先に、EUと合意した離脱協定案の採決を下院が先送りしたことを受け、やむなくEUに1月31日まで離脱を延期するよう要請していた。首相官邸の報道官はこの日、EUからまだ回答はないとした上で、「首相はなお、下院は英国をこうした立場に置くべきではなかったと考えている」とコメント。「10月31日にEUを離脱するべきとの見解に変わりはない」としている。
離脱延期の合意は、英国の承諾を得た上で、加盟各国の首脳が署名をすれば正式に成立する。
ブレグジットの延期が決まり、合意なき離脱はいったん回避されたものの、下院のこう着状態は続いている。英下院では、離脱協定案の承認を関連国内法が成立するまで保留することが決まっている。その後に離脱協定を国内法化する離脱協定法案(WAB)は原則支持されたものの、3日間で法案を通過させるという政府の審議日程案は短すぎるとして否決された。ジョンソン首相はかねて、他党が12月12日の総選挙実施を受け入れれば、離脱協定案のさらなる協議に応じる意向を示している。
これに向けて同首相はこの日、「早期に総選挙を実施する」との動議を再び下院に提出したが、賛成299票、反対70票で、可決に必要な全体の3分の2に当たる434票以上の支持は得られず否決された。最大野党・労働党はかねて、合意なき離脱が排除されないままでの早期総選挙には反対している。ただ、自由民主党とスコットランド民族党(SNP)は、12月9日に総選挙を実施するための法案を新たに提出する方針を示している。この法案は単純過半数の支持が得られれば可決するほか、修正案を通じて政府にさまざまな条件を突きつけることも可能となる。
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