欧州連合(EU)加盟27カ国は25日に開いたEU大使会合で、英国のEU離脱期限を延長することで合意した。ただ、延長期間については、フランスが長期の延期に反対したため合意がまとまらなかった。ジョンソン英首相は28日にも総選挙の実施を求める動議を下院に提出するとみられており、EUは英国の出方を見て28日か29日に延長期間を決定する方針とみられる。BBC電子版が伝えた。
英国の現行の離脱期限は10月31日に迫っている。ジョンソン首相は先に、下院が離脱協定案の採決を先送りしたことを受け、法律に基づきやむなく1月31日までの離脱期限延期をEUに正式要請した。ただ個人的には、なお10月31日の離脱を目指すと、EUのトゥスク大統領に伝えた。その後のインタビューでは、これが無理でも11月15日または30日までの短期延期を望むとしている。
フランスのマクロン大統領はかねて、英国が具体的な方針もなく離脱延期を繰り返すことに反対している。延期を短期にとどめることにより、英下院に決断を迫るべきとしており、この点でジョンソン英首相と考えが一致している。一方、トゥスク大統領は、英国の正式な要請通り来年1月31日までの延期を認めるよう加盟各国に提言している。また、ドイツとアイルランドは延期を最長1月31日までとし、英下院と欧州議会で離脱協定が批准された時点で打ち切る案を支持している。
英下院は延期要請後、離脱協定を国内法化する離脱協定法案(WAB)のスピード審議も拒否したため、ジョンソン首相は法案の審議をいったん停止。離脱が1月31日まで延期される場合、他党が12月12日の総選挙実施を受け入れれば、11月6日まで離脱協定案の協議に応じる意向を示した。同首相は10月28日にも総選挙を求める動議を提出する構えとされ、下院がこれを拒否すれば、マクロン大統領の言い分が正当化されることにもなる。英最大野党・労働党のコービン党首は民放ITVのインタビューで、「首相が合意なき離脱の可能性を完全に否定しない限り、総選挙実施は支持しない」と話している。
こうした中、EUは下院の出方を見極めてから延長期間を決定する方針とみられ、EUと英首相および下院が互いの出方を探り合う状態となっている。ただ、EUは最終的には1月31日までの延期を認めるとの見方がなお強い。
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