欧州連合(EU)のトゥスク大統領は22日夜、EU加盟各国の首脳に対し、英国の離脱延期の承認を推奨する方針を示した。同大統領が自身のツイッターで明らかにしており、首脳会議(サミット)の開催を割愛して書面での合意取り付けを目指している。
英下院(定数650)ではこの日、ジョンソン首相が欧州連合(EU)と合意した離脱協定修正案を国内法化するための離脱協定法案(WAB)の審議を開始。法案の審議を続けることが賛成多数で可決された一方、審議日程を3日間とする政府動議は否決された。これは10月31日のEU離脱実現が遠のいたことを意味しており、ジョンソン首相は、合意なき離脱への準備を加速させるとともに、EUが離脱延期要請にどう返答するかを待つ間、法案の審議を停止するとした。ジョンソン首相は依然として、10月31日の離脱を目指す方針に変わりはないと繰り返している。
トゥスク大統領は、ジョンソン首相によるこの判断を受け、合意なき離脱阻止に向けて書面による離脱延期の承認手続きを提案。サッソーリ欧州議会議長は23日に発表した声明でトゥスク氏に同調し、延期を受け入れることで英国に立場を明確化させる時間を与えると同時に、欧州議会は役割を果たすことができるとしている。
BBC電子版によると、アイルランドは離脱延期を承認する方針。AFP通信によると、ドイツも拒否する意向はないとした。一方で、フランスは数日間の期限延長には前向きなものの、離脱協定の再交渉につながる可能性のある長期の延期には反対の姿勢を示している。半面、延期期間が短すぎる場合は、無意味に終わる可能性もある。
なお、ジョンソン首相は23日朝、最大野党・労働党のコービン党首と協議の場をもった。労働党の広報官は、コービン党首が然るべき審議日程を設けるよう首相に要求したとしているが、両者は何の合意にも至らなかったとみられている。
英下院は19日、ジョンソン首相とEUが合意した離脱協定の修正案の承認を、離脱関連の国内法が成立するまで保留する案を可決。これを受け、同首相はやむなくEUに離脱延期を要請する書簡を送付。21日夜にWABの文面を公表したばかりだった。
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