ドイツを代表する五つの経済研究所は2日発表した秋季合同経済予測の中で、今年の国内総生産(GDP)成長率の見通しを4月時点の0.8%から0.5%へと引き下げた。世界的な資本財需要の伸び悩みや政治的不透明感、自動車業界の構造的変化などが理由。貿易摩擦の激化によるリスクが高まっているほか、英国が合意なしで欧州連合(EU)を離脱した場合も悪影響が及ぶと警戒している。
合同経済予測は、連邦経済技術省の委託により春と秋の年2回発表される。今回の予測は、Ifo経済研究所、RWI経済研究所、ドイツ経済研究所(DIW)、ハレ経済研究所(IWH)、キール世界経済研究所(IfW)の五つの研究所が合同でまとめた。
それによると、国内経済の減速に伴い、雇用は勢いを失っている。製造業では人員整理を行う企業も現れる一方、サービス業や建設業は引き続き雇用を続けている。その結果、雇用の伸びは向こう2年で大きく縮小するとみる。
また、4月の前回予測時に比べてドイツや世界経済を取り巻くリスクが鮮明になったと指摘。米中の貿易摩擦やアジア地域内の対立が不透明感を生み出し、世界経済に負担を与えているとみる。加えて、英国の合意なき離脱は欧州経済、特にドイツ経済を圧迫すると予想。英国がEUと合意を取り付けて離脱した場合と比べ、合意なき離脱はドイツの来年のGDPを0.4ポイント押し下げると予測する。ドイツに限ってはさらに、自動車製造における構造の変化がリスクとなると警鐘を鳴らしている。
2020年については、GDP成長率が1.1%へと加速するとみる一方、前回予測時の1.8%からこちらも大きく下方修正した。2021年は1.4%で推移すると見込んでいる。
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