英最高裁判所は17日、ジョンソン首相による議会閉会措置の妥当性を巡る訴訟2件の審問を開始した。スコットランドの民事控訴院では先に違法判決が出た一方、ロンドンの高等法院は政治的な動きは裁判所の管轄外として訴えを棄却しており、いずれも敗訴側が上訴していた。審問は19日まで続く見通しで、判決によっては議会の閉会中止を余儀なくされる可能性もある。BBC電子版などが伝えた。
最高裁では11人の判事がまず、ジョンソン首相の議会閉会措置を巡り裁定を下すことの是非を判断する。その後、判事は同首相の行為の妥当性を判断するとみられる。野党側は最高裁が違法と判断した場合、閉会を直ちに中止するよう求めている。
スコットランドでの訴訟は、欧州連合(EU)残留派議員75人から成る超党派のグループが8月に起こしたもの。民事控訴院は9月半ばに議会の閉会を宣言するようエリザベス女王に要請したジョンソン首相の決定について、権限を合法的に行使しているよりむしろ「議会を破綻させるための戦術」だと説明。判事3人は満場一致で違法と判断した。イングランドでは、実業家のジーナ・ミラー氏が英政府を提訴。ミラー氏はジョンソン首相の動きについて「違法な権力の行使」だと主張したが、ロンドンの高等法院はこれを棄却している。
なお、英領北アイルランドのベルファストでは、合意なきEU離脱とアイルランド国境の復活は北アの和平プロセスに深刻なダメージをもたらすとして市民による訴訟が行われていた。しかし、ベルファストの高等法院は政治的な動きで裁判所が介入する事案ではないとして、先にこれを棄却した。
英議会は10日に今会期を終了。10月14日に新会期が始まるまで、ブレグジット問題を含めて一切の審議が停止される。合意の有無にかかわらず10月31日にEUを離脱することを目指すジョンソン首相が先に決めた措置で、合意なき離脱に反対する議会の横やりを避ける狙いだった。しかし、野党各党が提出した合意なきEU離脱の阻止に向けた法案は女王の勅許を得て閉会前に法律として成立。これにより、ジョンソン氏は10月19日までにEUから合意を取り付け、議会の承認を得られなければ、離脱期限を現行の10月31日から来年1月31日まで延期するようEUに要請することを義務付けられた。
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