ジョンソン首相は16日、ルクセンブルクで欧州委員会のユンケル委員長と会談し、英国の欧州連合(EU)離脱について協議した。両氏の会談は、同首相の就任後で初めて。ジョンソン首相はこの会談で、EUとの合意成立に意欲を示す一方、合意がまとまらなければ離脱延期は要請せず、予定通り10月31日にEUを離脱する意向をあらためて示した。
ジョンソン首相は、1998年に北アイルランド紛争の終結と和平実現に向けて結ばれたベルファスト合意を順守すると同時に、EU離脱協定から「バックストップ(安全策)」を取り除き、英議会での可決が可能な合意に達する決意を示した。これに対しユンケル委員長は、「離脱協定と合致し、法的に実行可能な解決策を提出する責任は英国にある」と指摘。そうした提案があれば、バックストップの目的を満たすかどうかを前向きに検討するとした上で、「そのような提案はまだ受け取っていない」としている。
会談には、EUのバルニエ首席交渉官と、英国のバークレーEU離脱相およびフロスト離脱交渉担当官も同席。双方は今後、交渉をさらに加速させることで合意した。
なお、ジョンソン首相はこの後、ルクセンブルクのベッテル首相とも会談。その後に建物の外で記者会見が予定されていたが、ブレグジット反対派の市民数百人が会場前で抗議デモを実施したため、急遽出席をとりやめた。単独で会見に臨んだベッテル首相は「バックストップの代替案はまだ受け取っていない」とした上で、「ブレグジットはEU市民にとって悪夢」とコメント。「この危機の責任は英国にある」と訴えた。
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