英最大野党・労働党とスコットランド民族党(SNP)、自由民主党、ウェールズ党は6日、ジョンソン首相が欧州連合(EU)から離脱の延期を確保するまで、早期総選挙の実施には応じないことで合意したもようだ。10月31日のEU離脱実現に向け、10月15日の早期総選挙を狙う同首相にとっては痛手となる。BBC電子版が6日伝えた。
ジョンソン首相が先に下院に提出した早期総選挙を求める動議は、4日に否決されたものの、同首相は9日にあらためて同様の採決を行う方針。これに向け、労働党のコービン党首や自民党のスウィンソン党首、下院でSNP議員を率いるブラックフォード議員、下院でウェールズ党議員を率いるロバーツ議員は5日、合意なき離脱が回避されたことを見届けない限り総選挙に応じないことで合意した。一方、与党・保守党に閣外協力する北アイルランドの民主統一党(DUP)と、合意なき離脱を求めるブレグジット党は、早期の総選挙を支持している。
下院では先に、英国の合意なきEU離脱の阻止に向けた法案が可決。6日には上院を通過した。この法案は、10月19日までにEUと合意を取り付け、英議会がこれを承認するか、合意のないまま離脱することを承認しなければ、来年1月31日までの離脱延期をEUに要請するよう首相に義務付けるもの。9日には法制化される見込みで、法案を提出した野党議員らはジョンソン首相が新法に従わない場合、同首相を提訴することも視野に入れているという。
一方で、ジョンソン氏は既に総選挙を意識した政策を展開しており、5日にはイングランド北部ヨークシャーで、整列した警察官を背景に、警察予算の拡大方針をアピール。ただ、一部では警察管を事実上の選挙演説に利用したとの批判を浴びている。同首相は6日にはスコットランドを訪れ、同地域の農家向けの支援拡大を打ち出した。スコットランドでは先に、同党の支部であるスコットランド保守党のルース・デービッドソン党首が辞任。反ジョンソン派として知られる同氏は、前回選挙で保守党の議席大幅増に貢献しただけに、スコットランドでは保守党の苦戦も予想されている。
ただ、いずれかの時点で総選挙が繰り上げ実施される可能性が高まっていることを受け、国民の間でも若年層を中心に選挙名簿登録の動きが活発化している。英政府の統計によると、4日には1日で8万2,000人以上が手続きし、5日までの3日間で20万人近くが登録を申請。新たな選挙登録者の半数以上は35歳以下が占めている。
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