ジョンソン首相は28日、9月半ばに議会の閉会を宣言するようエリザベス女王に要請したと発表した。女王は要請を承認し、議会の再開は10月14日となる予定。野党が合意なき欧州連合(EU)離脱の阻止に向けた法案を成立させる時間を奪う狙いとみられる。この措置には野党に加え与党・保守党内からも反対する声が上がっている。
議会は現在、夏季休暇中で、9月3日に審議が再開される予定となっている。同首相は再開から2週目に今会期の終了を宣言するよう女王に要請したとしており、これは9月9日からの週に当たる。女王は各党の党大会が終了した後の10月14日に新たな会期を開始し、施政方針演説を行う見通し。ジョンソン首相はこの間にEUとの離脱交渉がまとまれば、新たなEU離脱協定を施政方針に盛り込み、10月31日の離脱期限までの可決を目指すとしている。施政方針演説を巡る採決は、10月21日か22日に行われることになる。
最大野党・労働党と野党各党の首脳は27日、合意なき離脱の阻止に向けた法案の成立に一致協力して取り組むことで合意したばかりだった。労働党のコービン党首は、議会閉会措置について「わが国の民主主義を脅かす非道な行為」と反発。バーカウ下院議長は「憲法を蹂躙(じゅうりん)する行為だ」と強く批判している。また、ハモンド前財務相やグリーブ元法務長官など、保守党議員からもこの措置に反対する声が上がっている。
議会は通常、毎年春に1年間の会期を終え、女王が閉会を宣言する。閉会中は一切の審議が停止され、通過していない法案は原則として廃案となる。閉会の具体的なタイミングは政府が決めて女王に助言するが、メイ前首相はブレグジットのめどを付けるため会期を延長。今会期は2017年6月から続いており、過去350年超で最長となっている。
なお、スコットランドの民事控訴院では先に、政府による議会閉会措置の合法性と合憲性を問う訴訟が始まった。EU残留派議員などから成る超党派のグループが起こしたもので、9月6日に審問が行われる予定。同グループは今回の措置を受け、審議の前倒しを要請することを検討している。
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