独立シンクタンクの政府研究所(IfG)は11日、英国の欧州連合(EU)からの合意なき離脱に関する報告書を公表し、議会が合意なき離脱を阻止する手段はほぼないとの見方を示した。ジョンソン政権は期限である10月31日に、合意のあるなしに関わらずEUを離脱する方針を堅持している。
報告書では、EUとの離脱協定の合意や、議会の合意なき離脱を阻止する動議の提出、内閣不信任案の可決、解散総選挙など複数の選択肢を検討している。しかし、いずれの場合でも期限まで時間が限られている上、政府の協力を必要とする部分があり、政府の方針を変更できなければ合意なき離脱は避けられないという。
たとえば離脱協定で合意した上で期日に離脱するには、8月中にもEUと妥結して議会が承認する必要がある。しかし、8月はEU加盟各国が夏季休暇で動かないほか、英国では9月後半から10月にかけて党大会開催による議会の休会があるなど時間的に厳しい。また、議会が合意なき離脱に反対する動議を可決しても政府はこれに従う必要はない。
一方、議会で内閣不信任案が可決されれば14日以内に代わりの政権を樹立する必要があるが、それができずにジョンソン首相が辞任を拒否する場合もあり得るという。総選挙をするにも、議会の夏季休会が終わってすぐに実施を決めなければ、10月31日にまでに行うのは難しいと指摘している。
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