英産業連盟(CBI)は28日、英国の合意なき欧州連合(EU)離脱への対策に関する調査結果を公表した。英国とEUの備えは不十分であり、双方の経済のあらゆる分野が混乱状態に陥ると警告。特にEU側の準備は分野が限定的かつ短期的であるとして、英国よりも遅れているとの見方を示している。
CBIは経済の27分野について、英国、EU、企業それぞれの合意なき離脱に対する準備を調べた。これによれば打撃軽減に向けた取り組みはあるものの、依然として離脱直後に混乱が生じる可能性は高いと指摘。全分野が短期的または長期的な影響を受けると予想している。例えば、英国とEUの間でサービスの提供が法的に不可能になるほか、データの自由な流通も法的に不確実となる。中でも対策に十分な資金を投じられない中小企業に相当の影響が出るとみている。
EUは6月、合意なき離脱を含め、どのような状況にも十分な備えがあると表明していた。しかしCBIは今回、EUが英国側に認める重量車免許の有効期限が離脱後9カ月間にとどまること、英国の航空会社によるEU域内の運航は離脱後6カ月しか認められていないことなどを挙げ、準備が不十分と指摘。一方の英国は、影響を軽減するため2016年から2019/20年度に40億ポンドの投入を決めているほか、既に100件を超える法的措置を導入しているという。
CBIは今回、合意なき離脱対策の加速に向け、200件以上の提言を示しているが、あらゆる取り組みを行ったとしても英国経済への影響は10年超続くと結論付けている。
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