英国の新首相に、保守党を率いるボリス・ジョンソン前外相(55)が24日就任した。同氏は先の党首選で、現行の欧州連合(EU)離脱期限である10月31日までのブレグジット実現を公約に掲げて当選し、23日に新党首に就任。首相就任演説でも、英国は「どんなことがあっても」この日にEUを離脱すると、あらためて決意を示した。
メイ前首相はこの日、下院で最後の首相代表質問を終えた後、エリザベス女王に辞意を伝えて正式に辞任。その後、ジョンソン氏が女王に謁見し、新首相に就任した。
ジョンソン新首相は就任演説で、離脱期限までの99日間にEUから合意を取り付けて離脱することに強い自信を示すとともに、これを疑問視する人々は「間違っている」と強調。欧州と新たなパートナーシップを組む意向を示した。ただ、合意なき離脱の可能性もわずかながらあると認め、これに備える必要性があるとしている。
内政面では、高齢者ケアを抜本的に見直すと発表。また、警察官を2万人増やす方針も示した。このほか、自由港の導入、遺伝子組み換え作物の研究促進、国産人工衛星の増加、技術革新の支援に向けた税控除、動物福祉などに取り組むとしている。
■財務相にジャビド氏、外相にラーブ氏
一方、この日はジョンソン氏の首相就任に伴い、閣僚の辞任が相次いだ。合意なき離脱に反対し、かねて辞意を表明していたフィリップ・ハモンド財務相やデービッド・ガーク司法相、グレッグ・クラーク民間企業・エネルギー・産業戦略相、ローリー・スチュワート国際開発相が辞表を提出したほか、クリス・グレイリング運輸相、ペニー・モーダント国防相ら多くの閣僚が辞任している。
ジョンソン首相はこうした中で閣僚人事に着手したため、その顔ぶれはメイ前内閣から大幅に刷新された。
財務相の後任には、党首選に出馬していたサジド・ジャビド内相が指名された。ジャビド氏は党首選で敗れた後、ジョンソン氏の支持に回る意向を表明したことで、財務相のポストが有力視されていた。その後任の新内相には、EU離脱派の国民投票キャンペーンをリードした1人であるプリティ・ペテル元国際開発相が就任する。国民投票の前からEU離脱を唱えていたドミニク・ラーブ前EU離脱担当相は外相に充てられ、筆頭国務相も兼任することが決まった。現在のEU離脱担当相であるスティーブン・バークレイ氏は留任する。国防相には、ベン・ウォレス前治安担当閣外相が就く。
党首選で善戦したマイケル・ゴーブ前環境・食料・農村相は、ランカスター公領大臣に充てられた。党首選でジョンソン氏と共に最終候補に残ったハント前外相は、国防相への格下げを打診されたが拒否したため、閣外に去る可能性がある。
ジョンソン新首相は、英国人の両親の元に米ニューヨークで生まれ、名門私立学校のイートン校からオックスフォード大学に進学して古典学を学んだ。2001年に下院議員に当選し、2008~2016年はロンドンの名物市長として名を馳せた。2016年の国民投票ではEU離脱派を率い、メイ内閣では外相を務めたが、2018年7月に政府のブレグジット方針に反対して辞任した。
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