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欧州議会選、2大政党が後退 英仏伊などでEU懐疑派躍進

23~26日に投票が行われた欧州議会(定数751)選挙は、欧州連合(EU)の結束を支持する親EU派が過半数を確保した。ただ、中道右派と中道左派の2大会派が共に議席を減らす一方、各国でリベラル派政党と緑の党が躍進し、寄り合い所帯の色合いが増している。一方、EU懐疑派のナショナリスト政党も各国で票を伸ばし、英国やフランス、イタリアなどでは最多議席を獲得した。

27日午後3時(中央欧州夏時間)時点の発表では、最大会派で中道右派の欧州人民党(EPP)が180議席、2大会派のもう一方である中道左派の欧州社会・進歩連盟(S&D)は145議席と、それぞれ現時点から37議席、42議席減少。一方、リベラル派の欧州自由民主改革党(ALDE)は109議席、欧州緑グループ・欧州自由同盟は69議席を獲得し、いずれも大きく勢力を拡大した。極右会派である「国家と自由の欧州(ENF)」は58議席、「自由と直接民主主義の欧州(EFDD)」は54議席を確保している。投票率は50.9%と、過去40年間で初めて上昇に転じた。

緑の党やリベラル派の躍進は、EUの向こう5年の環境政策や産業の自由化、テクノロジー規制などに影響を及ぼす可能性もある。ただ、EUの結束強化やユーロ圏諸国のリスク分担強化といった基本方針は各会派に共通しており、維持される見通し。

欧州議会の新勢力図が確定したことを受けて今後、11月に就任する欧州委員会の次期委員長の選定作業が本格化する。EPPの議席減により、同会派が筆頭候補として推すマンフレート・ウェーバー党首の形勢が不利に傾く可能性もある。

■ナショナリスト政党が躍進

英国の欧州議会選挙では、全73議席のうちナイジェル・ファラージ氏が率いる新党「ブレグジット党」が29議席を押さえ首位に立った。一方、EU残留を訴える自由民主党も16議席で2位に浮上。メイ首相率いる与党・保守党と最大野党の労働党はそれぞれ4議席、10議席にとどまった。この結果を受け、ファラージュ氏はブレグジット党の欧州議員のEU離脱交渉への参加を要求している。

フランスでは、マリーヌ・ルペン党首率いる極右政党・国民連合(旧国民戦線)が全74議席中22議席を獲得。マクロン大統領率いる中道新党「共和国前進(REM)」の21議席を僅差で上回った。REMは、欧州議会ではALDEに参加することを決めた。

ドイツでは、国政第1党の中道右派・キリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)が全96議席のうち29議席を確保して首位を維持したものの、得票率は28.9%と歴史的低水準に落ち込んだ。連立相手の中道左派・社会民主党(SPD)は16議席で3位に転落している。一方、緑の党は20議席を獲得し2位に浮上。ユーロ圏解体と反難民を訴える極右政党「ドイツのための選択肢(AfD)」は11議席で4位となった。

イタリアでは、サルビーニ副首相率いる国政第2党のナショナリスト政党・同盟(旧北部同盟)が全73議席のうち28議席を得て圧勝。一方、連立相手の反体制派政党「五つ星運動」は14議席で3位にとどまり、明暗を分けた。ポピュリズムへの対抗を掲げる中道左派・民主党は18議席で2位に食い込む健闘ぶりを見せた。


関連国・地域: 英国ドイツフランスEUイタリア
関連業種: IT・通信マクロ・統計・その他経済政治社会・事件

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