欧州議会選挙(定数751)の投票が23日、英国とオランダを皮切りに始まった。英国では73議席、オランダでは26議席を巡って各政党が争う。他の欧州連合(EU)加盟国でも26日までに順次投票が行われ、いずれの国の結果も全加盟国の投票終了後に明らかにされる予定だ。極右やポピュリズム政党の躍進が予想される中、EUの団結を目指す既存勢力がどこまで食い下がれるかが注目される。BBC電子版などが伝えた。
英国ではイングランドの9地区、ウェールズ、スコットランド、北アイルランドを選挙区とし、比例代表制によって欧州議会議員を選出する。ガーディアンがまとめた各社の世論調査では、ナイジェル・ファラージ氏が率いる新党「ブレグジット党」の支持率は平均32%でトップ。一方、メイ首相率いる与党・保守党の支持率は下落傾向にあり、直近では7%にまで下がっている。最大野党の労働党は平均21%だが、一部調査では13%との結果も。EU残留を訴える自由民主党が15~19%と支持を伸ばしている半面、EU残留派の新党「チェンジUK」は平均4%にとどまっている。
ダッチニュースによると、オランダではこの日、通勤客らの投票を促す目的で鉄道駅などにも臨時の投票所が設けられた。出口調査の結果は23日夜にも判明する見通し。同国では、ポピュリスト政党の民主フォーラム(FvD)が支持を伸ばし、ルッテ首相率いる中道右派・自由民主党(VVD)と同等の5議席を獲得すると予想されている。
ロイター通信によると、ポピュリスト政党やEU懐疑派の議席数が全体の3割を占める可能性も取り沙汰されており、投資家などが各国の政治経済への影響を懸念。対米貿易摩擦などEUとしての結束を必要とする課題に対し、法制面での手続きの複雑さが増すことも予想されている。ただ、英国が最終的にEUを離脱すれば同国から選任されたEU懐疑派議員が抜けるため、勢力は弱まると見込まれている。
米政治メディアのポリティコは、イタリアやフランスなどの主要国をはじめ、フィンランドやハンガリー、ポーランドなどでも極右やポピュリスト政党が第1党を狙う勢いで躍進するとの予測を示している。
欧州議会の世論調査部門が先に明らかにした議席獲得予測では、欧州議会の最大会派で中道右派の欧州人民党(EPP)は180議席、2大会派のもう一方である中道左派の欧州社会・進歩連盟(S&D)は149議席と、いずれも現時点から40議席弱を失うと見込まれている。一方、欧州自由民主改革党(ALDE)は76議席、欧州緑グループ・欧州自由同盟は57議席といずれも勢力拡大が予想される。また、極右会派である「国家と自由の欧州(ENF)」は62議席、「自由と直接民主主義の欧州(EFDD)」は45議席へと躍進するとの見立てだ。
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