イングランドで2日に投票が行われた地方選挙は、国政与党の保守党と最大野党・労働党が共に議席数を減らす結果となった。欧州連合(EU)離脱を巡るこう着状態に対する国民の不満が背景にあるとみられている。特に保守党は全国で1,300議席以上減らす大敗を喫し、1995年以降で最悪の地方選挙結果となった。一方、2度目の国民投票への支持を打ち出す自由民主党と緑の党は、共に大きく躍進。地方選でもブレグジットを巡る国民の分断が浮き彫りとなっている。BBC電子版が伝えた。
選挙は248の自治体で行われた。保守党は選挙前にはこのうち137議会で多数派を占めていたが、選挙後はこれが93議会に激減。労働党も6議会で支配を失い、60議会となった。一方、自由民主党が多数派の議会は、8議会から18議会へと2倍以上に増加している。
議席数では、保守党は全国で計3,564議席と1,330議席の大幅減。労働党も84議席減らし、2,021議席となった。これに対し、自由民主党は704議席増の1,351議席と躍進。緑の党も194議席増やし265議席を確保している。また、今回の選挙では無所属候補の健闘も目立ち、605議席増えて1,044議席に達した。独立党(UKIP)は145議席を失い、31議席に落ち込んでいる。
保守党はイングランド南西部の自治体で特に苦戦し、中でもボーンマス(Bournemouth)・クライストチャーチ&プール(Poole)とサマセットウエスト&トーントン(Taunton)の2つの新設自治体の議会で議席数が激減した。一方、労働党は中部アッシュフィールドで一気に20議席減らし、議会の支配を失った。
保守党のダンカンスミス元党首は、メイ首相はこの選挙結果の責任を取り今すぐ辞任すべきと訴えている。同首相はかねて、EU離脱協定が下院で可決されれば辞任する意向を表明している。現在は可決の見込める打開策を見いだすため、労働党との協議を続けているが、党内には労働党の力を借りることへの不満もくすぶっている。
■北アは中道派の同盟党が躍進
2日には北アイルランドでも地方選挙の投票が行われ、11議会の462議席が争われた。各党の獲得議席数は、親英強硬派の民主統一党(DUP)が122議席と首位を維持したものの、選挙前からは8議席減。親アイルランドのシン・フェイン党は全105議席を維持する一方、親英派も親アイルランド派も標榜(ひょうぼう)しない中道派の同盟党は32議席から53議席へと躍進している。
ベルファスト市議会選挙では、シン・フェイン党が1議席減の18議席、DUPが2議席増の15議席となる一方、同盟党も2議席増やして10議席を獲得。引き続きキャスティングボートを握る格好となっている。
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